第192話兄弟
「じ、実は霧響と霧響の下着を買いに来てたんだ・・・」
まあ、さっき初音は下着店の中に入ってるわけだしそれでもそのことについてはあんまり怒ってないってことはもしかしたら許してくれるかもしれない。
「・・・は?下着?」
なぜか初音は驚く。おいおい、何を驚いてるんだ、確かにおかしな話だけどさっき下着店に俺と霧響がいるのを初音が下着店に入ってきて確認してるだろ。
「ああ、霧響がどうしてもついてきてくれないと婚約するって聞かなくて──」
`ビチッ`
「痛っ!」
初音に力強くデコピンをされた。なんかたまにいるデコピンが異常に強いやつの三倍は痛かった。
「な、何を──」
「そっちこそ何してるの!?私以外の女と下着店にしかも私に黙って行くなんてっ!これはもうどこからどうみても浮気行為だよね?」
「ま、待て!兄弟で浮気なんてするわけないだろ!?それになんで今更驚いてるんだ、さっき初音も下着店の中に入ってきてただろ!」
「あの時はそーくんのことしか見えてなかった──っていうかずっとそーくんのことしか見えてないからそんな店のことなんて見てないよ!」
嘘だろ、周りが見えなくなるって比喩表現だと思ってたけど・・・本当に周りが見えなくなるんだな・・・
「わ、わかった、確かにそれは悪かったけど、事情を──」
「だからっ!事情説明なんて優しいものじゃ済まないってっ!」
「お、落ち着けって、相手は兄弟だぞ!?」
「で?」
「仮に師匠・・・彩音が男だったとして付き合いたいと思うのか?」
「思わない」
「なら、兄弟で浮気なんて成立しないんだ、わかったか?」
「うん、ごめん」
「・・・・・・」
いや、早すぎるだろ。なんか師匠が可哀想になってきたな。まあ何はともあれこれでこれからも霧響との浮気を疑われることはないだろう。
「じゃあなんで霧響ちゃんと下着なんて買いに来てたの?」
「それは──」
「お兄様が私の下着を見たくて見たくて堪らない人だからですよ♪」
笑顔の霧響がひょこっと顔を出してからこっちに向かってきた。
「おい、変なこと言うな、俺は────」
「へえ、そうなんだー・・・じゃあそーくんから霧響ちゃんの下着買いに行きたいって言ったの?」
「言ってない!言うわけないだろっ!全部嘘だって!」
「でも浮気じゃないにしろ、妹の下着を買いに行くなんて普通に考えておかしいよね?」
まさか初音に普通を語られることになるとは・・・まあ確かにその通りなんだけど・・・
「それは、まあ・・・」
「じゃあおうち帰ろっか」
「え?」
初音は俺のことを強制送還とでも言わんばかりの勢いで家に連れ戻した。
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