第189話妹と下着店

「入りましょ、お兄様」


「ま、待て待て」


「なんですか?」


 前に初音と言ったところも大概だったけどここは本当にやばい。視界に入るところ全てが女性者の下着で壁には至る所に海外のモデルの下着姿とか水着姿とかが貼ってある。


「この店の壁とか天井を見てみろ!」


「ポスターが貼ってますね」


「あんなの貼ってる店に入れっていうのか?」


「・・・それが何か?別に意識しなければなんともないと思いますが?現に私がそんなものがあることにすら気づかなかったですし」


 それは霧響が女性だから言えることであって俺は男性だから周りを気にするのは仕方ないと言いたいけどそうしたら「気にしすぎですよー」とかって言って煽ってくるんだろうな・・・


「じゃあ仮にここが男性ものの下着店だとしよう」


「はい」


「それで周りには海外男性の下着姿とか水着姿が貼ってあるんだ、そして周りには男性ばっかり」


「はい」


「・・・どう思う?」


「別に?なんとも?」


 嘘だ、さすがに霧響といえど動揺するはずだ。絶対にそこから崩してやる。


「嘘つくな。周りに男性しかいないんだぞ?白い目で見られるし、もしかしたら下卑た目で見られるかもしれない」


 ちょっと言い過ぎかもしれないがそのぐらい言わないとわかってくれそうにない。


「別になんともないですよ、お兄様以外の男性なんて興味ないですし」


「なっ・・・!」


「・・・・・・」


 本当なのか?あんなに告白されといて?


「いやいや、さすがにそれは──」


「・・・・・・」


 そろそろそんなふざけたことを言うのはやめてくださいという目で霧響がこちらを見てくる。冗談じゃなさそうだ。


「わ、わかった、入ろう」


「はい❤︎」


 そしてとうとう下着店に足を踏み入れた。わかってはいたけどだいぶ白い目で見られている。それとは対照的に霧響は本当に楽しそうにしている。


「ふんふふんふふ〜ん♪どれ買おっかなあ──あっ!お兄様!こんなの私に似合うと思いますか?」


 そう言って見せてきたのは花柄の水色の下着だった。こう言うのは大体・・・


「ああ、似合うと思う」


 と言っておけば大丈夫だ。


「適当に言わないでください、ちゃんと私がこれを着た時のことを想像してください」


「そ、想像・・・?」


「・・・・・・」


 霧響があれを着たら──って!妹の下着姿を妄想で想像するような変態にはなりたくないっ!


「あっ、お兄様顔真っ赤ですよ?これ買いますね♪」


「なっ・・・!」


 完全に遊ばれてるな、くっ、今日はずっと霧響に遊ばれてばかりだ。そろそろ反撃のい一つでもしてやろう。兄を舐め腐った罰だ!

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