第188話女性フロア
一駅電車に乗って俺たちはそれなりに大きいデパートに来た。こんな大きくて人が多いところで妹の下着を買いにくる兄なんて・・・
「はあ・・・」
「大丈夫ですよ、周りにはカップルにしか見えませんから❤︎」
「それはそれで大問題なんだよ!」
確かに周りからしたらそうなるのかもしれないけどそれはそれで嫌だな、だけど兄弟で下着を買いに行くっていうのもなんかあれだし・・・今やっていることを正当化するのは難しそうだな。
「で、何階にあるんだ?」
「3階の1番奥です」
3階か・・・そんなに登らないといけないのか、天国へのエスカレーターじゃなくて地獄へのエスカレーターになりそうだな。
そして俺は霧響と一緒にエスカレーターに乗った。1階は食事とかお土産とかを買うようなところがあって2階は男性フロアで服とか時計とか色々あって3階は女性フロアで服とかメイク用品とかがあるらしい。・・・下着とかも。つまり、俺が3階に入るだけでおかしい話なんだ。
「お兄様・・・」
お、そろそろ3階のエスカレーターに移るからフォローしてくれるのか?
「そろそろ3階のエスカレーターですがほとんど女性しかいないので他の女性を見ないでくださいね」
「・・・は?」
「ですから、そろそろ周りに女性しかいなくなりますが周りを見ないでくださいねと────」
な、何を言ってるんだ、俺のことをフォローしてくれるどころかまさか警告してくるなんて・・・
「そんなジロジロは見ないしそもそもなんで俺がここまで来たのか──」
「ジロジロなんて誰も言ってませんよ?もしかしてジロジロ見る気だったんですか?」
「あー、もういい、とりあえず早く行こう」
俺はどんどん足を進めて3階についた。
「うわあ・・・」
本当に女性しかいない。ちょこちょこ男性もいるけどそれはなんかカップルっぽい感じの人だけで店員さんすらも女性しかいない・・・周りの視線が痛いな、早く霧響に上ってきて欲しいところだ。そして少ししたら霧響が上ってきた。
「なんでそんなに遅いんだよっ!」
「いえいえ、でもこの階じゃお兄様一人でいるのは苦痛だと思ったので私の存在のありがたさをわかって欲しくて」
まあ確かに女性からの視線がめちゃくちゃ痛かったけど・・・
「そんなことどうでもいいんだ!それよりも早く──」
「どうでもいいのであればここで動かず一時間ほど待っていただけますか?下着は私`一人`で買ってきますので」
そんなことしてたら警備の人に捕まるかもしれないだろっ!
「わ、わかった、悪かった、一緒に買いに行かせてください」
「仕方ないですね♪」
「・・・・・・」
俺はうきうきな霧響と共にとうとう女性ものの下着を売っている店の前まで来た。・・・いや、来てしまった。
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