第178話結愛と猫カフェ

「で、家から出たはいいけどどこに行くんだ?」


「んー、私的にはそーちゃんと一緒にいればどこでもいいんだけど・・・逆にそーちゃんはどこかないの?」


「どこかって言われてもなあ・・・」


 正直にいうと今の気分的にはそんな外出したい気分じゃないんだけどあんな大量の盗撮をしてたなら異論を挟むことなんてできるわけがない。


「じゃあ、まあ、んー…猫カフェとか…?」


 結愛は確か猫が好きだったはずだ、これでなんとか機嫌を取ろう。


「あっ、私が猫好きだって覚えててくれたのっ!?」


「も、もちろん…」


 よし、機嫌が良くなってる気がする。いや、さっきも別に不機嫌そうではなかったんだけどやっぱり盗撮されていい気はしないだろう。


「でも近くに猫カフェなんてあるのかどうか・・・」


「大丈夫!今はゴールデンウィークだから基本的にはなんでもあるよ!猫カフェはもちろん犬カフェ鳥カフェ人間カフェ!」


 人間カフェって・・・それただの喫茶店だろ。


「じゃあとりあえず猫カフェに行こう」


「うんっ!」


 そして俺と結愛は最寄りの猫カフェに向かった。が、俺は内心心を巡らせている。なぜなら俺は基本的には動物とか虫とか意思伝達ができない動物が苦手だからだ。でも不安がってても結愛に悪いし、ここは無理矢理にでも楽しむことにしよう。ちなみに犬だけは好きだ。それから20分後・・・


「ついたねー!」


 とうとうついてしまった。いっそ昔の2Dのゲームみたいにループしてくれたらなんて思っていた。


「こっ、これが・・・」


 生まれて初めてくるけどだいぶ地獄絵図だな。っていうかリードとかでつないだりしてないのか?それはもちろん猫にリードなんてつけるのはおかしいなんてことはわかってるけど、店内を暴れたりはしないのか?


「にゃにゃっにゃにゃ!」


`ニャー`


 結愛が猫と戯れている。こうしてみると普通の可愛い女の子だ。


「お客様ご注文は──」


 と、女性店員がメニューを持って椅子に座っている俺たちに対して問いてきた。


「ネコオムライスにネコうどんに根っこネコ・・・?」


 最後のやつはネーミングセンスがちょっと怪しいよな・・・


「えーっと、じゃあこのネコオムライスをひと──」


「二つお願いしますっ!」


 とさっきまで猫と戯れていた結愛がいつの間にか顔をこっちに向けていた。


「かしこまりました」


 と、女店員さんは持ち場へと戻っていった。


「一つなんて悲しいこと言わないでよ、私もそーちゃんと同じ──じゃなくてそーちゃんは私と同じやつ食べたいんでしょ?」


「え、でも今俺の方が先に頼んで後から──」


「同じやつ食べたいよね?」


「も、もちろん・・・」


「だよねっ♪」


「・・・・・・」


 やばい、猫よりもこっちの方が全然怖いことに俺は今更気づいてしまった。っていうか下手したら蛇とかよりも怖いかもしれない。俺の彼女、恐るべしだな。

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