第173話結愛と総明の関係は?
「じゃあ、とりあえずこの縄を解いてくれないか?」
「うんっ!寄生虫の効果がないならもう縄をしておく意味なんてないもんね!」
そういうと結愛という女の子は俺の縄を解いてくれた。
「助かったよ」
「う、うんっ!」
と、結愛は不自然なほど喜んだ。
「それにしても悪いけど本当にほとんど何も覚えてないんだよなあ・・・」
「うん、それでいいんだよ」
「それでいい・・・?」
「うん、あんな虫のことなんて覚えてても仕方ないんだし、どうせなら新しい人生を始めよう?」
そう言われてもな・・・やっぱり不安は残る。でもやっぱり適応力は大事だよな。
「わかった」
とりあえず結愛の提案を受け入れることにした。
「じゃあ、今お腹空いてない?」
「あー、ちょっと空いてるかもしれない」
「わかった!じゃあ今から作ってくるねっ!そーちゃんはここで待ってて!」
「ああ」
と結愛は元気満々にどこかに行った。階段を降りる音がしたところを見る限り俺が今いるのは2階とかなのか?ちょっと探検でもしてみるか、まあ恋人の家をちょっと散策するぐらい罰当たりにはならないよな。
そして俺は少年の気持ちで家中を捜索することにした。
「まずは・・・」
俺がいた部屋の隣に❤︎が刻まれたドアがあってちょっと気になったので開けてみる。
「おお・・・」
普通の女の子の部屋って感じだな。ピンクをベースとした至って普通の部屋──
「ん?」
机の上にカッターがある。結愛は工作とかが趣味だったりするのか?額縁には俺の写真がある。なんだこの引き攣った笑顔は・・・なんでこんな引き攣った顔で笑ってるんだ?まるで────
「そーちゃん・・・」
「えっ・・・?」
後ろからさっきまでとは明らかに雰囲気の違う結愛がいた。
「何か見た・・・?」
「いや、見たって言っても引き出しとかは開けてないから!うん!」
「何か思い出したりした?」
「いっ、いやいや、何も思い出してない」
「そう・・・ならいいんだっ!ご飯できたよ!」
「あ、ありがとうございます・・・」
「なんで敬語になってるの?早く行くよっ!」
と、結愛は俺の腕を引っ張った。・・・なんだ今のおぞましい感覚は・・・なんで俺はこんな怖い人と彼女になってしまってるんだ?
「・・・・・・」
だめだ、モヤがかかって思い出せない。でも結愛に恐怖を覚えてるのは確かだ。もしかして結愛とは恋人のはずなのにいつの間にか上下関係ができてしまっていたとかそういう感じなのか?
そして俺は結愛にリビングらしきところまで連れられてきた。
「はーい!私の愛情ごはーん!」
なんだ、てっきりこの調子で食べられないようなものでも出てくるのかと思ったけど案外普通のチャーハンがテーブルに置いてあった。
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