第172話記憶喪失
「っ・・・?」
なんだここは、妙に薄暗い。それに椅子に括りつけられてるみたいだ・・・
「あっ、そーちゃん、起きたの?」
「・・・?」
やたらと胸部が強調された服装の髪の毛を一括りにしている女の子が出てきた。
「やっぱり起きたんだね♪」
「・・・えーっと、誰だ?」
「あー・・・まあ仕方ないかな、私は`桃雫結愛`そーちゃんの`恋人`だった人だよ?」
「恋人・・・?」
なんだ、なにか違和感がある。っていうかなんで俺はここにいるんだ?ここはどこなんだ?
「ごめんね、海外の鬱患者向けの`記憶抹消剤`のせいで一時的に記憶なくなっちゃってると思うけど、まあ少しの辛抱だから安心してね!」
「は、はあ・・・」
記憶抹消剤?しかも鬱患者向けって、俺は鬱だったのか?
「俺は、鬱だったのか?」
「うん・・・重度の鬱患者だったんだよ?」
そうだったのか、全く思い出せないな。
「変な虫に寄生されちゃったせいで鬱になっておかしくなっちゃってたんだよ」
「なるほど・・・」
虫に寄生されて、か。確かに虫は苦手って言うのは覚えてるしあながち本当なのかもしれない。じゃあこの人は助けてくれたのか?いや、この人っていうのはなんか遠い呼び方の気がするな、恋人らしいし。でも俺はあいにくなんにも覚えてないしな・・・
「ちなみに俺は君のことを何て読んでたんだ?」
「下の名前で結愛って読んでたよ?」
「そうか・・・」
下の名前で呼び合うような関係だったのか、まあ恋人なら当然か。
「で、ここはどこなんだ?」
「質問ばっかりだね、まあ無理もないけど、ここは、私の家だよ」
「家・・・?」
それにしては随分と暗いな。それになんで──
「なんで俺は椅子に括り付けられてるんだ?」
「ああ、もし万が一そーちゃんの記憶が消えてなかったら無理矢理にでも記憶を消そうと思ってて」
「そ、そんなに俺は鬱だったのか?」
「うん、鬱っていうか洗脳?みたいな感じだったんだよね・・・でも今はもうそんなことを忘れてまっさらになったわけだしこれで`治療`完了だね!」
とりあえず助けてくれたのは間違いないようだ。助かった、虫は本当に苦手だからな、しかも洗脳してくる虫なんて、寄生虫の上位互換的なやつなのか?
「助かった、ありがとう」
「えっ・・・う、うん///」
・・・ん?恋人の割にはやけに初々しい反応だな、最近恋人になったばっかりとかそう言う感じなのか?いや、でも鬱状態の俺と恋人になろうだなんて思わないだろうし、だとしたら結構前から恋人のはずだよな。
「・・・・・・」
もしかして今までの俺は感謝すらしなかったのか?それで普段感謝しないはずの俺が感謝してるからこんな初々しいとかそう言う感じで見てもいいのか?多分そういうことだな。
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