第171話朝の安楽の一時
「・・・っ」
眩しい、もしかしてもう朝なのか?あれから結局どうなったんだ?寝る位置とか縛られたりとか色々あったけど、まず俺の体は・・・
「・・・・・・」
動かないな。朝になるまで縛られたまま寝てたのか・・・この文面だけ見たら俺が変態みたいだけど断じて俺は変態じゃない!もし変態だと言うのであれば初音の方──いや、やめよう。自分の彼女を変態だなんて思いたくない、昨日のはきっと夢だ、うん、そうだ、夢でしかない。
「あいうえお」
あれ、ガムテープは貼られてないみたいだな。この間に何があったんだ?あんなに楽しんでいた初音と霧響がガムテープを剥がしてくれるなんて。
「・・・ん?」
俺の背中と胴体あたりに柔らかい感覚を覚える。なんなんだこの感覚は。どこかで────
「んっ、あっ、そーくんおはよー」
「お兄様、おはようございます」
と、俺の前から初音、後ろから霧響の声が聞こえた。じゃ、じゃあまさかこの柔らかい感覚は・・・
「そーくんあったかーい❤︎」
「お兄様の体温を感じます・・・」
やっぱりそうだ!っていうかいつの間にか俺の部屋のベッドに移動してるし・・・
「離してくれ!」
「いいじゃないですかー」
「うんうんっ!」
本当になんなんだ、世間ではセクハラとか痴漢とかあったりなかったりだけどもし今の世界にこんな女の子しかいないのであればそんなのほとんど冤罪もいいところだぞ。
「ああ!もう!とにかく縄を解いてくれ!!」
「んー、まあそろそろなんか可哀想になってきたしいいかな」
そういうと初音は俺の縄を解いてくれた。
「ふう・・・」
俺はとりあえず肩を回してみる。体が自由に動くことの素晴らしさに気づけたな。
「あっ、そういえばなんで俺の口のガムテープを剥がしてくれたんだ?体は縛ったままだったのに・・・」
「ああ、うん、ほら、口にガムテープなんてしてたら唇に直接キスできないでしょ?だから────」
「待て待て待て!き、キス!?」
ま、まさか・・・俺が寝ている間に俺のキスしたのか!?
「まあ、結局霧響ちゃんと奪い合いになっちゃって、いつの間にか私たちも寝ちゃってたんだよねー」
た、助かった・・・って奪い合いっていうのもおかしいんだけどそれを助かったと感じてしまう俺はもうだいぶ頭がやられてるのかもしれないな。
「ちょっと気分転換してくる」
俺はそういうと同じ部屋に初音と霧響がいる状態で着替えはしたくないのでリビングで着替えてから散歩することにした。
「おお・・・」
晴天だ。散歩にはもってこいの天気だな。俺が家のすぐ近くの曲がり角を曲がると同時に俺は頭の後ろに急激な痛みを感じた。
「いっ・・・」
`バタッ`
「・・・ふふ♪」
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