第159話霧響の本気
そうだ、俺が兄としてこんなことは間違っているとしっかりと教えなくちゃいけない。
「霧響、こういうのは────」
「あー、はいはい、そういうのいいですから、早くこっち向いてください」
俺の兄としての決心が`そういうの`で片付けられた・・・!これは何気にショックだぞ。
「・・・・・・」
「はあ、あの五分間ぐらいでやめていた刺激の強いゲームのように私のこともしてくれていいんですよ?」
「五分間・・・?あっ!」
あれか!確か転校初日に初音に脅されたエロゲのやつ!何で霧響がそのことを知ってるんだ!
「な、なんでそのことを・・・?」
「なんでって、監視カメラですよ」
初音といい師匠といい、俺にはプライベートというものがないのか!
「私あれ見てショックだったんですよ?あのゲームの攻略相手が妹じゃなくて同級生で・・・まあ5分で顔が赤くなってやめてたので許しましたけどね、お兄様もお年頃ですし・・・」
いや、初音とは違う理由でショック受けてるな。霧響は初音と違って一応二次元系にも強い。俺との会話を最大限楽しむために勉強してくれたらしい。そういうのは嬉しいんだけど、そういうプライベートなことまでしられると困る。
「でも、どうせゲームに使うような性欲があるのなら私で発散してくれてもいいんですよ?」
「だめだ、そんなことは許容できな────」
「いつまで言ってるんですか、いい加減しつこいですよ」
「えっ・・・」
いつもの俺なら「しつこいのは霧響の方だろ!」とか言ってるかもしれないけど、今の霧響の声を聞くと、そんな反抗心すらも薄れていってしまう。
「いいから早くこっちを見てください」
「き、霧響・・・?」
「はあ、本当に何でいらない人たちはホイホイやってくるくせに肝心のお兄様は全然その気になってくれないんですか、これだから──」
と、俺には聞こえないような声で何かを呟いている。
「とにかく!早くこっちを向いてください、話はそれからです」
「向かない!」
「そうですか、じゃあもう私から行きますね」
と、霧響は狭い湯船に入ってきた。ギリギリ二人入れるかどうかのレベルだ。
「あっ、本当に目を開けていたんですね」
「あ、ああ、だからこれで──」
俺が返答しようとすると同時に霧響は俺の顔を霧響の体が見えるように回転させた。
「ちょっ、まっ・・・!」
そんな瞬時に目を閉じる瞬発力なんて俺にあるわけもなく・・・妹の湯船で体育座りしている状態の裸を見ることになってしまった。
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