第160話霧響の誘惑
「・・・・・・」
見てしまったけど、まあ体育座りだし、本当に危ないところは見えていないからセーフというか、でも見方を変えれば逆に見えそうで見えないという受ける人には受けそうな状況だ。今は霧響と正面で向き合ってるんだし、目を瞑ることはできそうにない。
「どうですか?お兄様・・・私の体❤︎」
とりあえず何とかして霧響をこの湯船から出したいな。この年で兄弟で一緒に湯船に入るなんて恥ずかしすぎる
「あ、ああ、もっとよく見たいんだけど、体育座りしてるからよく見えないんだ、だから湯船の外に出てくれ」
「嘘をつかないでください、さっきまであんなに反抗的だったのにいきなりこんなに従順になるなんておかしいです、なのでこの場合お兄様がいいたいのは湯船の外に出てほしいっていうことだけ、ですよね?」
「うっ・・・」
なんで今の一文でそこまで俺の真意を読み取れるんだ・・・
「でも、体育座りしているとはいえ、ずっと掴んでいるわけですし、何か感じるものはあるでしょ?」
「妹にそんな何かを感じるわけないだろ」
「へえ、そうですか・・・」
ちらっと霧響はタオルを巻いている俺の下半身を見た。
「な、なんだよ・・・」
「いえ、そのタオルを剥げばその言葉が本意かどうかわかりますよね?ほら、殿方にはそれがわかるわかりやすいものがあるじゃないですか」
「お、おい!」
「タオル越しでもわかります、昔よりも大きく──」
「待て待て、やめろ、それ以上言うな!なんか生々しいだろ!」
「・・・そうですね、私もそんなことが言いたいんじゃないですし」
なら最初から言うなよ・・・と、力強く言えたらどれだけいいだろうか。ああ、発言権が欲しい。
「はあ、それにしても夢のようです・・・お兄様が私のを掴んでいて、というより揉んでいて」
その表現だけは使わなかったのに・・・
「しかもお兄様が私の裸を見てくれていて、湯船に一緒にこうして入れているだなんて・・・はあ///」
「お、おい──」
「それより!もうここまでいちゃついたんですから、もっといちゃつきましょうよ!」
「いや、いちゃついたっていうか、単に霧響が脅してきただけ──」
「何か言いましたか?」
「な、何でもないです」
本当に最近の俺は人権がないな。一体どうなってるんだ、今度占いでも行ってみるか。絶対に何かしら不幸な年なんだ、今年は────
「そーくん、霧響ちゃん知らない?」
ドラの向こうから初音の声が聞こえる。って!普通にやばい。もしここで見られたら今までの苦労は何だったんだって話になってしまう。
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