第153話初音の異常力

 俺たちはリビングに入ると初音はすぐに味噌汁を持ってきてくれた。とても香ばしい香りがする。


「おお、美味しそうだな」


「・・・・・・」


「そう?ありがと!」


 そういうと、初音は主食も作るからとキッチンに向かうと言った。が、俺としては初音に近くを離れられると非常に困るので・・・


「お、俺も料理手伝うよ」


 と、俺はなんとか初音から離れまいとするも、初音の善意によって俺の作戦は見事に砕かれる。


「ううん、お料理は`お嫁さん`の役目だから私がするよ!でも気持ちだけはいただくね❤︎」


 って言うかいつもの初音なら「そーくんと他の女を二人きりになんかできないよ!」とか言ってむしろ初音から俺の元を離れなさそうなんだけど、本当に霧響には甘いな。むしろ霧響にこそ厳しくしてほしいんだけど・・・


「待ってください、私がお料理をします」


 と、霧響は立ち上がった。


「大丈夫だって、私がちゃんとそーくんの`お嫁さん`としてお料理作るから座ってて!」


 ・・・ん?


「いえいえ、初音さんはお客さんなので待っていてください、私が`私の役目`を全うしますので・・・」


「ううん、それは`私の役目`だから私がやるから、霧響ちゃんこそ座って待ってて?」


「・・・・・・」


 初音、さてはさっきの話を聞いてたな。さっき霧響が俺にお嫁さんになるとか言ってたからそれに釣られて初音もお嫁さんにとして、とか言ってるんだ。意地の張り合い、か。


「調味料の場所とか、慣れない場所だとやっぱり手際が降りると思うので私が作ります」


「だめだよ、私が`お姉さん`なんだから私がやるよ」


「・・・お姉さん?」


「うん、あと1年後にはそーくんと私は結婚するからそうなったら霧響ちゃんは私の妹になるんだよ?」


「お、おい!1年後に結婚って、なんの話──」


「そーくんは黙っててくれるかな?」


 どうやらこの場所においては俺のに人権はないらしい。いや、今回に限ったことじゃないか。初音と誰かが口論しているときは俺に人権なんていうものはない。法律がない場所に行きたい?なら法律があるのに人権がない俺はどうすればいいんだ・・・


「お兄様は進学するつもりなのであなたと結婚している`暇`なんてありません、なのであと4年は待ってください」


「あっ、そーくんが進学するならわたしもそーくんと同じところに行くから大丈夫だよ?」


「恋愛なんて勉学の邪魔になります」


「その点はしっかり私がスケジュールを組むから問題ないよ」


「それでもし進学できなかったら責任取れるんですか?」


「取れるよ、っていうかむしろ進学なんてしないで早く私に養われてほしいっていうか私がいないと精神的にも物理的にも身体的にも生きられない状況にしたいから、責任なんて物じゃ足りないよ」


「・・・・・・」


 さっきまであんなに達者だった霧響の口が止まった・・・若干引いてるのか?でもこれでも初音はまだ相手が俺の妹っていう理由なのか遠慮して喋っているのが伝わってくる。

 頼むから俺との会話にもそのぐらい遠慮して喋ってくれ・・・

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