第154話切り刻まれたラノベ

 その後重苦しい空気のまま、味のしなくなったご飯を食べ終えた。そして、俺は霧響に部屋に切り刻まれていたラノベの件について問いただすことにした。


「そういえば、俺の部屋の切り刻まれたラノベはなんだったんだ!」


 と、俺が霧響に抗議しようとするが・・・


「え?そーくんが私のためを思ってやっといてくれたんじゃないの?もう浮気しないための戒めとして・・・」


 と、さっき食べ終わって空になったお皿を洗いながら初音は言う。まずい、初音の地雷を踏んでしまったかもしれない。でも今は極力初音とは離れたくない・・・けど、一瞬なら大丈夫だろう。


「霧響、ちょっと兄弟で積もる話がある」


 と、デジャブかもしれないが、霧響と同じ手でなんとか初音の前から退いた。そして俺はついでに霧響を俺の部屋に連れて行き、説明してもらうことにした。


「これはお兄様がいけないのでしょう?」


 と、「何当たり前のことを・・・」とでも言わんばかりの表情で霧響は言ってくる。


「何がいけないんだ?」


 俺は至極真っ当な疑問を返す。当然だ、ただ男子高校生が大好きなラノベを買うことのどこにいけないところがあるのか。さあ、聞かせてみろ!


「こんな絵の女の子に下心を持つなんて、いけないことに決まってますよね?こんなものがあるから日本は少子化問題というものに悩まされているのも事実だと思われます、つまりそんなことは絶対にありえませんが万が一お兄様がこの神に翻弄され私と結婚できなくなったらどうするんですか!」


「・・・・・・」


 ああ、初音と遠からず近からずって感じだな。そんな理由で俺の思い出を!


「そろそろ本当にふざけるな!現実と二次元の違いぐらい高校生にもなればもうついてる!」


「そうですか、なら・・・」


 と、霧響は何やらスマホをいじり、一つの画像を見せた。


「こ、これは・・・」


 ラノベの王道美少女ヒロインのイラストだ。ああ、やっぱり可愛いな。癒され──


「っ!」


 霧響いつの間にか俺の背後をとっていた。


「そんなイラストに気を取られて・・・ここが戦場ならお兄様は死んでますよ?」


「ここは戦場じゃないし、こんなに可愛いイラストを見せられたら誰でも気を取られ──」


 し、しまった・・・!


「可愛い?可愛いとはなんですか?」


「い、いや、なんでもない、忘れてくれ」


「いいえ、忘れません、はっきりと聞きました、こんな絵を可愛い?やっぱり毒されてるじゃないですか、でも今ならまだ間に合います、こんなものを読むのはやめましょう!」


 人を宗教みたいな扱いしやがって・・・こうなったら!必殺だ!!

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