第133話総明の彼女から電話?
家に着いたと同時に俺のスマホで電話がかかってきた。
「何?誰から?もしかして女?」
「いや、そんなんじゃないって」
電話相手が非通知になっている。本当に誰だ?
「じゃあ、私が出ても問題ないよね?」
「えっ・・・」
「何?何かまずいことでもあるの?」
「相手は俺だと思って電話してきてるわけで──」
「そんなにしてバレたくない電話相手って誰?」
そう言いながら初音は俺のスマホ画面を覗き込んできた。
「・・・え?非通知?」
「そうなんだ、だから相手が誰なのか、俺にもわからない」
「でもそーくんに電話をかけてきてそーくんの電話番号を知ってるってことはそーくんの親しい人ってことだよね?」
「ま、まあ、多分・・・」
「じゃあもしその相手が女だったら浮気だよね?」
「ま、待て、家族かも──」
俺の言い分なんて聞かずに初音は電話に出た。
「・・・は?お前?」
と、初音は一気に不自然になって俺の方を睨んだ。初音が`お前`って呼んでるところを見る限り相手は結愛で間違い無いと思う。一応初音は礼儀正しい・・・かはわからないけど普通は`お前`なんて言わない。
「・・・うん」
「・・・・・・」
「・・・うん」
「・・・・・・」
「・・・で?それだけ?」
「・・・・・・」
「それだけなら切るから」
そういうと、初音は電話を切った。この態度的にやっぱり相手は結愛だな。
「誰から──」
と、俺が聞こうとすると初音は怒った様子で言ってきた。
「相手女だったけどもしかして知り合いなの?」
「えっ・・・」
相手は結愛じゃないのか?
「いや、知り合いも何も、もし相手が知り合いなら非通知でやり取りなんてするわけないだろ?」
「私に電話履歴を見られたらバレるから非通知で電話をかけるようにしたのかもしれないでしょ?」
な、なんでこんなに警戒してるんだ、もしかして相手は本当に結愛じゃないのか?でもだとしたらもう他に俺に非通知で電話をかけてくるやつなんていないはずなんだけどな・・・
「ねえ、どうなの?」
「いや、その前に電話相手誰だったんだ?」
「・・・そーくんの彼女だって」
「は!?」
な、なんなんだ、俺は本当に浮気なんてしてないのになんで俺の電話に俺の彼女とかいうやつから電話がかかってくるんだ?やばい、頭がオーバーヒートする・・・
「浮気してたってことでしょ?」
「ま、待ってくれ、俺は本当に浮気なんてしてない、もし電話相手がそう言ったんだとしたら何かの間違いだと────」
「じゃあ今の電話はなんだったの?」
「そ、それは・・・」
くっ、せめてその電話相手と俺が会話できてれば・・・
「・・・・・・」
「・・・・・・」
あれ、沈黙?いつもの初音ならもっと詰めてきそうなのに。
「・・・・・・」
「あー、だめだね、でもよかった!」
「えっ・・・」
そういうと、初音は一気に笑顔になった。
「ごめんね、彼女から電話がかかってきたとか嘘!ちょっとそーくんをテストしてみようと思っただけなんだー」
「はああああああああ!?」
本気で焦ったからやめてほしい。もう演技力が高いとかっていうレベルじゃない。
「はあ、もういいや、じゃあ本当の電話内容はなんだったんだ?」
「彩音が人質だってー」
「・・・は?」
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