第134話初音の彩音に対する思い
「ひ、人質・・・?」
「うん、あの女が彩音を返して欲しかったらそーくんと別れろだって、そんなことのために別れるわけないのにねー」
初音は全然危機感とか感じてないみたいだけどこれって普通に犯罪レベルじゃないのか?いや、もしかしたら結愛の冗談かもしれないけど・・・いや、師匠の名前を知ってるって時点で冗談の線は薄いのか。なら──
「それならどうにかしないとまずいだろ!」
「それって私と別れたいってこと?」
「そういうことじゃなくて、もっと別の方法で助けれるかもしれないし・・・」
「別にいいよ、彩音に時間取られてそーくんに手を出してこないならそのほうが何倍もいいし」
おいおい嘘だろ、まさか実の妹にまでここまでドライとは・・・まあ師匠のことを`女`認定している時点である程度は察していたけどここまでドライとは思わなかったな。
「師匠は初音の妹じゃないのか?」
「んー、まあ妹だけどたまたま同じ親に生まれただけでしょ?血の繋がりってそんなに大事なのかな?」
「えっ・・・」
どんな家庭内情があるか知らないけどまさか本当にここまでとは・・・
「師匠のこと、助けないのか?」
「助けるも何も彩音なら大丈夫でしょ」
「え?」
と、初音は普通のトーンで言った。危ない、ちょっと勘違いしてしまうところだった。初音は師匠のことをどうでもいいと思ってるわけじゃなくて師匠なら助けなんてなくても大丈夫だと思ってるんだ。でもだからって助けないっていうのはどうなんだ?それに──
「でも、人質ってことは師匠は今身動きができないってことだろ?そんな状況でどうやったら1人で脱出できるっていうんだ?」
「それは、ほら、現代最強の武器じゃない?」
「・・・?」
初音は自信満々に言った。現代最強の武器ってなんだ?そんなに軍事関連のことなんて詳しくないからわからないぞ。毒ガスとか大砲とかなのか?さすがにそんなわけないか。
「ねえ、そんなことよりトランプでもしない?」
「・・・・・・」
悠長にトランプなんてしてる場合かと声を大にして叫びたいけどそんなことをしたらいつものように「何?そんなに私と別れたいの?」とか言って話がループするだけだ。
「あ、ああ、そうだな」
そして俺と初音はとりあえずトランプで遊ぶことにした。どうやら初音は本当に全く気にしてないみたいだけど俺は頭の片隅にずっと師匠のことがあった。
「大丈夫かな・・・」
でもこれ以上考えると初音に心を読まれて怒られそうなので考えないようにしよう。
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