第111話初音のルール
家に帰ると俺はてっきり地下室に強制送還されるのかと思ってたけどどうやらそんなことはないらしく普通に家の中に入れてくれた。
「あれ、初音、怒ってないのか?」
「怒る?怒ってるわけなんてないじゃん」
「あ、あれ?そうなのか?」
なんだ、さっきの雰囲気だけでちょっと怖いことでも起きるって想像してたけどどうやら俺の被害妄想が過ぎただけだったらしい。
「怒ってなんてないよ・・・呆れてるんだよ」
「・・・え?」
ま、待て、それは怒ってるとかより怖くないか?呆れるって、怒った先にあるものなんじゃ──
「だからね、そーくんとりあえずこれを読んでほしいの」
そういうと、初音は一冊のかなり薄い本を手渡してきた。
「・・・何の本なんだ?」
「うーん、まあ読んでみたらわかると思うよ?とっても重要な本だから」
と、言われたので試しに俺は1ページ目を見てみる。因みに表紙などは白紙だったので今の所全く内容がわからない。
「・・・?」
実際に少し読んでみるも意味が分からない。
『そーくんと私の間のルール』
・そーくんは私以外の女の顔や声や体形や髪の毛や贅肉や手や足や脇や耳などを見ることは許されない。
・私以外の女のことを考えてはいけない。※例外は無い
・1日に一回連絡先を確認する。
・定期的にネット履歴をお互いに見せ合う。
「・・・・・・」
な、なんなんだこれ、いくらなんでもおかしすぎるぞ。今までもおかしかったけどこんなルールまで作るなんて。
「なんなんだこれ!こんなの自由が──」
「そーくんが悪いんだよ?あの変な女に粘着されたりするから・・・」
「いや、でも──」
「でも!このルールさへ守ってくれるなら私はそーくんが浮気したとは疑わないから!・・・どう?」
「・・・・・・」
こっ、これは卑怯なやり口だ。一見俺に選択肢があるように見えるけどもし俺がここで「自由が無い恋愛なんてただの束縛だ」なんて言ったらきっと俺は浮気を疑われて割と本気で殺されることだろう。だから俺には一つしか選択肢がない。っていうか前まではまだラノベとかのヤンデレヒロインよりかはましだと思ってたけどもしかしたら今はもうそれにだいぶ近い存在になってきているのかもしれない。
「も、もちろん守るけど・・・そ、その、なんというか──」
「何?言いたいことがあるならはっきり言って?」
「えーっと、その・・・期限を設けないか?このルールを守る期間を」
「期間?・・・まあ、そうだね、永久にやってもいいんだけどやっぱりプライバシーは大事だもんね」
そして初音は少し考えた後に答えを出した。
「じゃあ、1週間」
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