第108話初音の総明への愛情は異常
俺と初音はできるかぎり学校に登校すべく今日は早起きすることになっていた。
『そーくんっ!起きて!そーくんっ!起きて!』
と、言うのがだいたいもう5分間ぐらい聞こえてくる。初音がずっと同じテンポで言っている。どうなってるんだ、機械的すぎる。
俺は起き上がると、もう驚いもしない隣に初音がいた。そう、目を開けて‘静かに‘俺のことを見ている。
「・・・あれ?」
初音は喋ってない?だとしたらこれは誰の声だ?・・・いや、間違いなく初音の声だ。一体どこから──
「えっ!?」
どうやら俺のスマホのアラーム音が初音の声にすり替わっていたらしい。って!
「初音!なんなんだこれは!」
「だって、最近はあの女のせいでそーくんの耳が廃れてたでしょ?だから私がそーくんの耳を癒してあげるためにそーくんのスマホのロックを解いてアラームを設定してあげたんだよ?」
耳が廃れてた・・・?癒してあげる・・・?いや、その前に──
「スマホのロック画面を解いたってなんだ?」
「もう、ダメだよそーくん自分の身長と生年月日を足し合わせた数字をロック画面にしてたらそんなのすぐにわかるに決まってるでしょ?」
「普通そんなのわかるわけないだろっ!っていうかなんで俺の身長なんて逐一把握してるんだ!?」
「は?そんなの把握してるに決まってるでしょ?そーくんの身長も体重も血液型も性格も趣味も髪の毛の長さもメールアドレスもパスワードも何でも知ってるよ?」
「・・・・・・」
俺は初音に開示請求でもされたのか?だとしたら俺のプロバイダーさんは仕事してないぞ。俺の手に開示請求書が届いてない。
「まあ、そんなことどうでもいいじゃんっ♪早く行こ♪」
「いや、今すぐにロックを変える!」
そして俺はロックをまたしても変えた。だが、すぐに初音は俺のスマホを奪い取り、ロックを解除して見せた。
「は、はあ!?なんでっ!」
「そーくんを愛してる私からしたらそんなの朝飯前にもならないよ」
こ、こうなったら・・・俺は目を瞑ってロック画面を登録した。もし初音がロックを解いてくれなかったら終わりだけどなんとなく一矢報いたくなった。だが・・・
「解けたよ」
「う、嘘だろ!?俺すらもわかってないのにどうやって!?」
「そーくんは右利きで筋肉量的に無意識にやるならまずは人差し指から打つはず、そしてそーくんの今のスマホの持ち方だと人差し指が触れる数字は‘4‘になる、そして次も同じように繰り返していけばそんなの感嘆でしょ?」
「・・・・・・」
もしかしたら初音の俺への思いは俺が思っている以上なのかもしれない。でも、だからこそもう吹っ切れた!学校に行こう。
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