第93話初音の攻め
「・・・!?」
私がネットでひたすら洗脳や催眠について根底から調べていると、ふと目の端に映った映像を見て衝撃を覚えた。
「あ、彩音とそーくんが・・・」
彩音がそーくんを押し倒してキスをせがんでいて、そーくんは必死にそれを押さえている。彩音ぐらいの力ならそーくんの力でも押し返そうだけど・・・
「そんなことよりっ・・・!」
なんでそーくんの部屋に彩音が?しかも彩音が私のそーくんを奪おうとするなんて・・・
「油断した・・・」
やっぱり家の中でもトイレでもお風呂でもそーくんのことは逐一監視しておくべきだった・・・
私はすぐに包丁を片手にそーくんの部屋に乗り込んだ。
‘コンコン‘
「そーくんっ!開けて!他の女もいるんでしょっ!?」
「えっ、は、初音!?ま、待てっ!これはそういうのじゃーー」
「じれったいっ!」
そーくんが驚いた様子で全然部屋の鍵を開けてくれないので私は常に常備しているツールナイフのコンパスの部分から針を抜き取り、そーくんの部屋だけにはピッキング防止加工が無いため、ピッキングを行いそーくんの部屋の扉を開けた。
すると、そこには机を挟んで正座しているそーくんと彩音の姿があった。
「いやー、今日いい天気だなー」
「そ、そうだねー・・・」
なんていう一見普通の会話をしているけど、私は見た。彩音がそーくんを襲っているところを。
「・・・彩音」
「ど、どうしたの?お姉ちゃん」
そう冷や汗をかきながら言う彩音の態度など無視して私は彩音に問いた。
「さっき嫌がるそーくんに無理やりキスしようとしてたのは何なの?」
「いやっ、初音、あれはーー」
「そーくんは黙ってて」
と、私が冷たい声で言うとそーくんはおとなしく黙った。・・・本当に黙っててほしい。
「で、彩音、あれはなんなの?」
「いや、総明がお姉ちゃんとのキスで悩んでるっていうからちょっと予行練習でーー」
そーくんがキスで悩んでる?
「・・・・・・」
もしかしてさっきの私のせいで?でも・・・
「だからってなんで彩音がキスしようとしてるの?」
「あれはキスを寸止めまでしてちゃんと止めるつもりだったんだって」
「・・・本当?」
「えっ?」
「実は本当はそーくんが好きであわよくばとか思ってたとかは?」
「そんなわけないじゃん、総明の良いところなんてーーあるけど、私には高根の花すぎるよー」
「・・・それもそうだね」
もしここで彩音がそーくんに良いところなんてないとか言ってたら本当に殺してしまってたかもしれない。
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