第92話彩音の本気?

「まっ、いいや、今総明はお姉ちゃんじゃなくて私と話してるんだし」




「ま、まあ・・・」




 逆に怖いな。いつもの初音なら何かしら言ってきそうなのに・・・やばい、さっきのキスをバカにされた、っていうのはちょっと違うかもしれないけどあの言葉が頭の中でフラッシュバッグしそうだ。




「総明、今お姉ちゃんのこと考えてたでしょ?」




「うわっ・・・」




 俺が考え事をしているといつの間にか目の前に師匠の顔があった。




「いや、そんなことないけど・・・」




「ふーん、じゃあ何に悩んでるの?」




「えっ・・・」




 ば、バレた!?




「バレた!?みたいな顔してるね、むしろそれで気づかない人の方が少ないよ♪」




 そう言いながらくすくすと笑っている。そ、そんなに笑わなくても・・・っていうかやっぱり師匠は読心術がすごいな、実は結構心理学者だったり?なんてな。




「まあっ、とりあえず話しちゃいなって」




「うーん・・・」




 そして俺は結愛のことを話すと色々と混乱しそうだからとりあえずさっきのキスの件について話すことにした。




「実は、さっき初音にキスをしたんだけど「何それ・・・」って割と真顔で言われてーー」




「ふふっ、ああ、ごめん、続けて?」




「あ、ああ、えーと、さっき初音にキスをしたんだけどなんか反応が薄かったというか不満げーー」




「ふふふっふふっだめっ!やめてー!ふふっふっふふふふ」




 ・・・いや、俺は今相談してみろと言われたから割と結構本気で相談したのになんでこんなに笑われてるんだ?




「・・・・・・」




「ご、ごめんってえええええ」




 えを色々な音程で発している。・・・音域が広いな。




「し、師匠、い、いい加減にーー」




「ねえ、総明、私とキスの練習してみる?」




 そういうと、師匠は俺のことを押し倒し、覆いかぶさって来た。だが、師匠はどうやらあまり力はないらしい。いや、まあ俺は男だから当たり前のことなんだけど俺の周りの女の子はなんか力が強いからちょっとした安心感を覚えた。




「ほらっ・・・」




 そういうと、初音は割と冗談じゃなく唇を近づけてきたので俺は初音の口を掌で押さえた。




「おい、冗談もいい加減にーー」




「冗談じゃない、って言ったら?」




「えっ・・・」




 冗談じゃないって、どういうことだ?もしかしてーー




「なーんてね♪冗談だよっ♪」




「っ!」




 ・・・危なかった、もう少しでかなり頭が悪い勘違いをするところだった。ちょっとキスをされそうになるだけで好きだと勘違いしそうになるのは男の性か・・・?




「まあ、とりあえずキスなんてのはーー」




 そして俺は一晩をかけて師匠にキスの仕方を聞いた。


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