第85話初音の激怒と女の世界

 放課後になると同時に初音は隣の席の俺に物凄い眼力で睨んできた。・・・いや、睨むっていうかなんかそれを超えてしまってただただ冷えている目線だ。こういう時の初音は大概家に帰った瞬間に色々と言ってきたりする。それはものすごく怖いのでまだましかもしれない今のうちに謝罪しておくことにした。




「は、初音、そ、その・・・ご、ごめん」




「ごめんって何?内容は?内容がこもってないごめんなんて詐欺師がよく使うことだよね?で、詐欺師ってことは嘘をついていて、嘘をつく理由は私に何か隠したいことがあるからなんじゃないの?じゃあ、それって何?あの女と2人だけ転校生だったっていう共通点に関連することで隠したいことってなんなんだろうね?」




「・・・・・・」




 いつもの何倍も被害妄想・・・っていうか想像力がすごいな。




「いや、な、内容はーー」




 俺が謝罪の内容を述べようとすると、諸悪の権化・・・というか結愛がやってきた。




「そーちゃんっ!こんなメス放っておいて一緒に帰ろっ!」




 と、完全に空気を読めていないテンションで話しかけてきた。




「お前・・・」




 ・・・お前?初音がお前と結愛に向けて言っている。いつもはまあ、上品な言葉かはわからないけど一応冷静さは残していたのに今はお前という表現に変わっている。




「お前のせいで、またいい感じだったそーくんと私の恋仲が揺らいじゃったし・・・死ねば?」




「は?家畜のメスの分際でなんで人間様の私と会話できると思ってるの?顔しか良さの無い貧乳のメスのくせに・・・」




 ・・・おいおい、これが女子の裏側とかいうやつなのか?だとしたらこの場に俺がいるのは絶対に場違いだろ・・・




「とにかく二度と‘私の‘そーくんに近づかないでくれる?」




「私のって何?私のそーちゃんなんだけど?」




 いや、俺は誰の俺でも無いんだけど・・・今そんなことを言うと俺にヘイトが向きそうだから言わないでおく。




「じゃあ、そーちゃんに決めてもらお?」




「・・・へ?」




 待て待て・・・




「そうだね、そーくんに決めてもらおっか」




「・・・は!?」




 そういうと、2人は俺の方に詰め寄って来た。・・・いやいや、待て待て待て、そこに俺が加わると絶対話がややこしくなるから2人だけで解決してほしいんだけど!?




「いや、まあ、俺は初音とーー痛っ!」




 俺が「俺は初音と付き合ってる」と、言おうとしたら結愛に左腕を強く掴まれた。・・・その握力はどこから来るんだ!?




「可哀そうに・・・痛みでしかそーくんを支配できないなんて・・・」




「あなたは恐怖でそーちゃんを操ってるんでしょ?」




「は?何か根拠でもあるの?」




 ・・・結局俺が何を答えたところで意味なんて無かっただろ。俺に人権は無いのか?


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