第84話白雪初音という転校生?

 俺たちが教室に戻るとなぜか初音は廊下に立たされていた。まだ休み時間のうちから一体何やってるんだ?話しかけようとも思ったけどなんか話しかけるな感があったので特に話しかけずに自分の席に着いた。




 そして、休み時間も終わりみんなが席に着いた。・・・が、いるはずの初音が俺の隣の席には居なかった。ど、どうなってるんだ?さっきも廊下に立ってたし。


 まさか何かやらかして先生に怒られたとか?いや、でもあの初音に限ってそんなミスをするとは思えない。まあ、前に大胆な行動をとってはいたけどそれもちゃんと保険があったからであって保険が無い状態で何か大胆なことをするとは思えない。だとしたらなんで初音は廊下に立たされていた・・・いや、立っていたんだ?




「み、みんなー、席に着いてー、ほ、本日2人目の転校生を紹介するよー・・・」




「・・・ふ、2人目!?」




 結愛の兄弟とか?いや、でもだとしたら少なくとも一限目が始まる前に来ているはずだ。強大なら一緒に登校してるだろうし・・・じゃあ、本当に新しい人なのか?




「入ってー」




 と、さっきからどこか苦笑いをしている七海先生を尻目に、扉から一人の見目美しい女生徒が入って来た。そしてその女生徒は教卓の後ろ側に立つと、黒板に自分の名前を書いた。




「‘転校‘してきた白雪初音と言います、これからよろしくお願いいたします」




「・・・は?」




 転校してきた・・・?何言ってるんだ?初音はもうこの学校の生徒だろ。




「じゃあ、転校してきた白雪さんの席は最王子君っていう子の隣の席で」




「はい・・・」




 そうしおらしく言うと、初音はこっちに向かってきた。・・・いや、先生もなんでこんな芝居してるんだ?意味が分からない。




「は、初音、何してるんだ?」




「何って、転校だけど?」




「転校・・・?」




 そういうと、初音は酷く怒っているけど冷静という一番怖い口調で話してきた。




「何意味わからないみたいな顔してるの?そーくんが私以外の女と二人で同じになるからわざわざ私も転校生として転校してきてあげたんだけど?」




「いや、だからその転校の意味が分からない、初音はもともとこの学校の生徒だろ?」




 そうだ、本当に何を言っているのか理解ができない。




「だから、あの女とそーくんだけが‘転校生‘なのがいやだから私もそーくんと‘同じ‘転校生になったの」




「・・・それだけのためにこんなーー」




「それ‘だけ‘って何?私がそーくんと同じ転校生になるためにしたことなのになんでそーくんはそれを貶めるような発言をするの?」




「いや、貶めたわけじゃーー」




 と、俺が反論しようとする前に七海先生が授業開始の言葉を発し、結局微妙な空気感のまま放課後の時間が来てしまった・・・


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