第75話ゲームでの最終局面

 残り人数は10人となった。私とそーくんを除けば敵はあと8人.




『おい、こんなに物資いらないって』




『大丈夫、そーくんが死なないために渡してるんだから』




 私は道中もほとんどの物資をそーくんに渡した。ゲームとはいえ最愛の人が殺されてしまうのは怒りと悲しみで頭が破裂しそうになるからだ。




『いや、だからこれはゲームだって何度もーー』




『だからそんなこと関係無いって何度も言ってるよね?』




 はあ、そーくんはたまにものすごく物分かりが悪い時があるので困る。




『あっ!初音、あそこに敵がーーーー』




『倒したよ』




『えっ、はや!?すごいな・・・』




 と、そーくんが褒めてくれた。なぜかこのゲームをやっている時はそーくんがやけに褒めてくれる。多分そーくん自身もゲームが好きだから私のプレイに見惚れてくれているのだろう。




『・・・あっ、あと敵一人だけだな』




『そうみたいだね』




 一発目でもしかしたら優勝できるかもしれない。そうなったら私とそーくんだけのいい思い出になるだろう。ここは引くわけにはいかない!!




〔soumei1010がダウンしました〕




『えっ、どこから!?』




 と、そーくんが驚いているけど私も気付かなかった。でも今は森にいるので可能性は3つ。1つ目は木の陰から奇襲、2つ目は木の上・・・正確には木の上の方にある枝から奇襲、そして3つ目は割と至近距離っていう可能性だけど、私的には2つ目の説が濃厚とみている。


 なので私はすぐに上を見渡した、すると予想通り一人の女性の見た目をした人がいた。




『あいつ・・・』




『えっ、初音、なんか公開ボイスチャットになってるぞ!?』




 公開ボイスチャット・・・?なんかそーくんがよくわからないことを言ってるけど、とりあえずあいつを殺せば私たちの思い出ができる!




『その声・・・』




 と、相手は動きを止めた。




『白雪さん?』




『・・・は?』




 相手は私の本名を読んだ。っていうかこの声、私もどっかで・・・この癪に障る感じの声・・・




『あっ、もしかして虫!?』




『いえ、虫ではないけれど、貴女からしたらそういう認識かもしれないわね』




『えっ、つ、月愛!?』




『あら、その声は最王子君?なるほど・・・こんな大人数がいるゲームでマッチングするなんて奇跡ね』




 確かにそうだけど、今はそんなことどうでもいい。学校だといつも何かとそーくんが色々と私のことを妨害してくるけど、ゲームで、しかも敵同士なら殺しあっても問題ないはず。いや、むしろーー




『頑張れ!初音ー!!』




『うん!』




 私を応援してくれる。


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