第73話初めてのオンラインゲームは耳が幸せ
『えーっと、聞こえる?』
『ーーーーっ!』
ちょっと待って・・・なにこれ。
『ん?どうしたの?』
『・・・・・・』
なっ、なにこれ。なんかどこかで聞いたことがある表現だけどこれは本当に耳が妊娠しちゃう・・・そーくんの声がこんな耳元に・・・しかも、かなり高いマイクを購入したこともあってそーくんの声が本当に鮮明に聞こえる。
ど、どうしよう・・・こ、こんなの。み、耳が幸せすぎる。
『えっ、もしかして聞こえてない?』
『あっ、ううん、聞こえてるよ』
『そ、そう?じゃあ決定ボタンで始められるみたいだから早速始めよう』
『うん・・・!』
私はそーくんの声に癒されながらもオンラインゲームのマッチメイキングを開始した。こんなことならもっと早くにそーくんとオンラインゲームをしても良かったかもしれない。
今やっているゲームは100人近い人たちが無人島に放り投げられてそこにある武器などを使って殺しあうゲームらしい。なんで無人島に都合よく武器なんかあるのかはかなり疑問だったけど、まあゲームだしそのぐらいは普通なんだと思う。
『・・・・・・』
私はマッチが始まってからすぐに周りを見た。周りは森で、人は特にいなーーーー
『ーーっ!』
人が目の前にいた。どうやら最初は何の武器も持っていないので殴りかかることしかできないらしい。相手はまだ私に気付いていないようだったので先に殴りかかった。相手も武器を持っていないならお互い消耗戦になる。そして同じ条件で消耗戦をやる場合は先手を打った方が勝つ。
それが先手必勝の真の意味・・・過去の戦争を見てもわかること。
『えっ!?いや、待て待て!それ俺だから!!』
『えっ・・・』
確かにダメージが入っているような感じではなかった。それは今殴っていたのが味方のそーくんだったから?
『・・・・・・』
私はすぐに横に置いてあったカッターで自分の首を切ることにした。・・・もちろん現実で。
『お、おい、初音、何かよからぬことしてないか?別にダメージだって入ってないんだし、それに初音はゲームをほとんどやったことが無いんだから仕方ないって』
『・・・・・・そ、そうだね』
私は一瞬そんなのは詭弁だと思い、カッターで首を切ろうとしたけど、そーくんが私のために言ってくれていることを無碍にする方が重罪なので、私はおとなしくカッターをゴミ箱に放り投げた。
『と、とりあえず近くを見て回って、それで敵がいなかったら物資を集めることに専念しよう』
『う、うん』
現実だとちょっと頼りないところもあるそーくんだけど前もゲームとかは好きって言ってたから男らしいそーくんを見れるかもしれない。
はあ、本当にもっと早く買っとけばよかった。これからは定期的にしよう。
『あっ、そーくん!なんかタクティカルっていうショットガンがーー』
〔soumei1010がダウンしました〕
『えっ・・・』
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