第66話初音による教育
「な、なあ、初音、そういうことだから、早く扉をーー」
「その前に、‘教育‘、しないとね?」
・・・なんなんだ、さっきから教育って。しかも全然扉を開けてくれないし。
「なあ、初音、教育って何をするんだ?」
「あっ、そうだね!一応説明しておくと・・・そーくんが私がいないと何もできないって言うのはもう多分一生治せないと思うんだよね?でも、治さないのと治そうともしないことは全く別のことだと思うんだー♪だから、私がもし間違えたことをしたらこうなるよ!っていう植え付けをできたらそれも治るんじゃないかなって思ってさ、ほら、親が子供に‘〇〇したら〇〇だからね!‘みたいな?そういうことだよ!」
「・・・・・・は、はあ」
正直言っていることのほとんどを理解できなかったけど、一応頷いた。
「というわけで、そーくんは今日、私に浮気を疑わせるっていうダメなことをした罰として・・・今から失禁してもらいます!」
「・・・は?」
今なんて言った?失禁?・・・いや、絶対に嫌なんだけど。
「そんなの嫌に決まってるだろ!」
「嫌だからいいんだよ♪嫌なことじゃないとやったらダメって意識にならないでしょ?」
「じょ、冗談じゃないのか?」
「むしろ冗談だと思うの?」
「・・・・・・」
そこだけがかなり怖いトーンで言うのやめてもらってもいいですか?
「そういうわけだから、そーくんはそのまま待機ね?」
「・・・・・・」
初音、残念ながらそれは甘い。確かに俺がこの場を動かなければ俺は高確率で失禁してしまうだろう。だが、そんなのは俺が動けなかったらの話だ。こんな現実世界には拘束魔法なんて言う便利なものは無ーー
「あ、因みに動いたりしたらそれこそ本当に知らないからね?」
「・・・・・・」
どうやらこの現実世界には拘束魔法は無くても呪縛魔法ならあるらしいな・・・いや、怖すぎる。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
う、嘘だろ?祝日と平日を間違えたってだけでも恥ずかしいのにさらに失禁までさせられるのか!?
「・・・・・・」
「・・・・・・」
俺は足をがくがくさせつつ何とか堪えているがさすがにもう限界に近い。
「だ、誰か・・・」
そんな俺の願いが天に届いたのか、俺の前に女神・・・もとい師匠が現れる。
「あれ、総明?鍵でも忘れたの?」
「おお!師匠!」
師匠なら怒っている初音の対処法ぐらいはわかるはずだ!
そう思い、俺は師匠に早口で状況を説明した。
「し、師匠、どうにかならないか?」
「もちろん、なんとかしてあげる♪」
そういうと、師匠は鞄から何かを取り出した。・・・?本当になんだそれ。
「お姉ちゃん、これ総明の陰毛だよー」
「はあ!?」
師匠がそう言った瞬間扉が勢い良く開かれたと思うと、初音はその俺の陰毛らしいものを手に取った。俺はもちろん師匠にどういうことかと聞く。
「ああ、あれは陰毛じゃなくてただの総明の髪の毛だから安心して?」
「いや、それはそれでなんで鞄に常備してるんだよ・・・」
なんていう疑問もあったけどとりあえず扉があいたので俺は家の中に入り、なんとか一大事を免れることができた。まあ、さすがは師匠・・・ってことでいいのか?
「・・・・・・///」
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