第56話初音の怖い勘違い
あれから地下に来た初音はとりあえず‘今は‘もう大丈夫と言い、俺を特に何も言うことなく俺たちの家に帰してくれた。・・・た、助かった。もしかしたら「ついでに」とか言って初音ならなにかしらしてくるかと思ってたけど、まあ、とりあえず助かったな。
そして俺はもう疲れまくったので早くにお風呂に入り、布団に潜ることにした。っていうか今日はいろいろありすぎたしなあ・・・
告白の返事に謎の幼馴染の登場、そして初音に軽くナイフで刺され、発信機を搭載され、挙句の果てには地下に連れて行かれた。・・・いや、一日が濃すぎだろ。
そんなことを考えていると俺はいつの間にか深い眠りに落ちていた。
「・・・・・・」
月曜日、またしても学校の始まりの日だ。俺は目を覚ます、そして横を見ると初音がいた。
「・・・眠ってるな」
いつもなら何かしらからかってくるところだけど今日はもう完全に眠っているらしい。まあ、無理もない、昨日はいろいろあったからな・・・寝ていたら可愛いな。いや、まあ起きている時も可愛いんだけど、やっぱりこの初音の無害そうな顔は反則だと思う。
「っていうか・・・」
は、はだけすぎだ・・・み、見えーー!?いや、でももう恋人になったわけだし別に見ても問題ないのか・・・?
「んにゃー・・・」
いや、こんな顔している初音の・・・を勝手に見るなんてさすがにできないよな。
俺は初音の色香に騙されずになんとか正気を保ち、すぐに自分の部屋を後にした。
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「・・・あーあ、なんで何もしないかなあ」
あとちょっとだったんだけどなあ・・・まあいっか、そーくんがどっか行ったってことはそーくんの部屋にいるのは私だけなわけだし・・・そーくんを堪能できる!
「くんくん・・・」
うん、今日もそーくんが使っていた枕はいい匂いだ、布団も。そういえばそーくんがちょっと前に私がラノベっていうのを読んで話せるようになればあの女とは極力話さないようにする、とか言ってた気がする。
私はそーくんの部屋の本棚にあったラノベという小説を手に取り、試しに読んでみることにした。
「タイトルは・・・」
『私の愛の深さに気付いてくれないのでもっと愛を伝えてみたけどなかなか気づいてもらえない!』
・・・わ、わかる!
私はタイトルだけでこの小説に気を惹かれ、すぐに読み始めることにした。内容は至ってシンプルで女子高生である主人公が鈍感な男の子にストーカーしたり、毎日自分の血をその男の子の水筒に混ぜる、と言った‘普通‘のアプローチを続けるような内容だった。
「んー、ちょっと普通過ぎるかなあ」
でも、重要なのは何をしたのかじゃなくてやっている内容。そーくんがこういうことをする女主人公のラノベを持っているということ。それはつまり・・・
「そーくんもしてほしいってこと・・・?」
私は自分の愚かさ気づいた。私はまだまだそーくんに愛情を伝えられてなかったらしい。だからそーくんもこんな紙を読んでいるんだ・・・まあ、でも仕方ないよね。確かに私は今まで監禁とか傷害愛情表現とかしかまだしてないわけだし・・・もうちょっといろいろやってあげないと。
「よし・・・!」
私はそーくんと改めて恋人になったこの節目にこれからは今までよりも、もっとアプローチを強めて行こうと決めた。
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