第33話初音の浮気疑惑

 俺と初音は今日もいつも通りに学校に来ている、もちろん特に何もなかった。‘昼休みまで‘は。


 昼休みになってからすぐ、初音が「ごめん、そーくん、ちょっと用事」と、言いながらどこかに足早に向かった。




「・・・おかしいな」




 いつもなら絶対に何かしら理由を述べてからどこかに行くはずだ、それなのに今回はなぜ何も言わなかったのか。俺は初音の行動に疑問を抱き初音の後をつけることにした。すると、校舎裏へと入っていった。




「こ、これはまさか・・・?」




 おそるおそる覗いてみると、そこには男子生徒が待っていた。これは、もう絶対に・・・




「ぼ、僕と、つ、付き合ってください!」




 告白だな・・・まあ、初音が許可するわけーーーー




「うん、いいよ」




 ・・・え?俺は自分でもなんでかわからないけど、こっそり校舎裏を後にした。




「・・・・・・」




 いや、別に初音と俺は今は正式に付き合ってるわけじゃないから浮気っていうわけでもない。だから俺が何か言うことはできないんだけど、なんかもやもやするな。


 俺はそんなもやもやの正体を探りながら昼休みを過ごした。そして、昼休み終わり直前、初音が俺の隣の席に戻って来た。




「ごめんね、そーくん、お待たせ」




「あ、う、うん」




 俺は無理やり作り笑顔を作り、相槌を打った。・・・さっきのことが頭から離れない。もちろんそんな頭で授業なんて集中できるわけもなく、俺は今日学校で一日中ぼーっとしながら過ごすことになった。




「おーい、そーくん、もう下校時間だよ?」




「えっ?あっ、ああ、ごめん」




 俺は下校時間が来ていることにも気づかないほどにぼーっとしていた。




「どうしたの?上の空っていう感じだったけど」




「い、いや・・・」




 ど、どうする?別に付き合ってないから浮気っていうわけじゃないけど、一応問いただしてみるか?普段自分は浮気しているのかと聞いてくるのに初音は浮気してるのかと。


 ・・・そうだ、普段から言われてるなら、俺が言っても問題ないはずだ。




「は、初音・・・あ、あの、その・・・お、俺たちはまだ正式に付き合ってるってわけなじゃいけど、い、一応そろそろ付き合う音になるかもしれないから懸念事項は払拭させときたいんだけど・・・」




「うん?」




「う、浮気っていうか・・・お、俺以外の男の人ともこんな風に付き合ってたりする?」




「え!?」




 初音は驚いた顔をした。・・・この驚きが「え、ばれた!?」の驚きなのか「するわけないよ!」の方の驚きなのか、俺にはもうわからない。俺的には後者の方が嬉しいけど、それは俺の希望的観測も入っている。でも、客観的に見ればどう考えても前者だろう。あんな光景を見てしまったら・・・




「な、なんでいきなりそんなことを言うの!?私が浮気なんてするわけないじゃん!この前だって、一緒にお花見をしに行くって決めたばっかりなんだよ!?そこでそーくんの答えをーーーー」




 ・・・だめだ、何を聞かされても言い訳にしか聞こえない。これがいつもの初音の気持ちなんだろうか。でも、俺の場合は決定的証拠がある。初音は男生徒の告白を受け入れた。それは紛れもない事実なんだ。




「だって、朝に告白を受け入れてたし・・・」




「なんでそのことを!?っていうか待って、あれはーーーー」




「もういい!俺は遊びだったんだろ!」




 俺は今までのことはすべて‘遊び‘だったんだなと思ったら居ても立っても居られなくなってその場を後にした。


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