第32話彩音は小悪魔
「じゃあ、さっそく師匠からの質問なんだけど、どうして君はお姉ちゃんと付き合ってるの?」
「・・・・・・」
返答してはいけない、そんな毎回毎回約束を破っていたら俺は最低だ。で、でも「今は付き合ってないけど前は付き合ってた!」と、一言だけ誤解を解きたい。でも今は隣に何故か喜んでいるとはいえ初音がいる。初音の目の前で約束を破るなんてできるわけがない。
「あれー、返答しないってことは、もしかして、お姉ちゃんは遊びなの?」
「・・・・・・」
こ、これは辛いな・・・
「まあ、いいや、じゃあ、話題を変えるね、今から沈黙はイエスってとらえるからね♪」
じょ、冗談じゃない、そんな解釈をされるなら俺はすべてイエスで答えることになるじゃないか・・・
「じゃあ、まず総明は浮気してるの?」
「・・・・・・」
年下に名前で呼ばれるとは思わなかったな、師匠予備をしたのは失敗だったかもしれない。この子、思いっきり小悪魔タイプだ。
「へえ、酷いねー、じゃあ、次はー、私のこと可愛いと思う?」
「・・・・・・」
「わあ!ありがとう!」
・・・ま、まあ、可愛いとは思うけど、そんなことを堂々と公認させないでほしい。
「なんてね、ごめんね?実はお姉ちゃんと何か約束があるんでしょ?だからずっと黙ってるんでしょ?」
「・・・・・・」
そ、それをわかっていながらあんなイエスで答えると俺が強制的に最低なやつになる質問をしてきたのか、やっぱり小悪魔だな。それにしても、頭が切れるところは初音譲りなのか?さすがとしか言いようがないけど、こんな小悪魔系な人にそんなものを与えないでくれ・・・
「そーくん!これ見て!」
そう言いながら、ついさっきまで嬉しさに身をほだされていた初音が俺にとあるチケットを見せてくる。
「こ、これは・・・お、お花見?」
「うん!お花っていいよね!春にしか見れないし、楽しみだよ!」
「そ、そうだね」
そ、そうだ、つい忘れそうになるけど、初音だって一応女の子なんだし、綺麗なものは好きなはずだ。そそれなのに俺は拷問器具で喜んでいるなんて考えていたなんて・・・申し訳ない。
そして、初音が・・・ま、まあ小悪魔師匠に俺には聞こえないように耳打ちをする。
「・・・・・・」
「ご、ごめんなさい」
と、なぜか師匠は初音に小さい声で謝った。な、何を言われたんだ?あの師匠が謝るなんて・・・
「じゃあ、そーくんいつ行く?」
「んー・・・」
そうだな、少なくとも春のうちにはいかないといけない・・・それなら。
「‘あの日‘にしよう」
「あの日・・・ああ、わかったよ、じゃあ、だいたいあと一週間後ぐらいだね」
と、俺と初音はあと約一週間後ぐらいにお花見に行くことになった。約一週間後は俺が答えを出す時だ。だから、お花見の時までには答えを出すことにした。
「えー、あの日って、あの日?総明はお姉ちゃんのそんなことまで知ってるのー?」
「な、何の日を言っているのかわからないけど、そんなこと知るわけーーーー」
と、俺が否定しようとした瞬間、初音がまたも彩音の耳元に口を近づけ、耳打ちをした。
「・・・・・・」
「・・・ご、ごめんなさい、総明‘さん‘」
「え?あ、うん」
だいぶ落胆した様子だけど、まあ、仕方ない。っていうかさんづけするほど何か言われたのか・・・
そうして彩音を二人でマンションの下まで送った後、今度こそ誰も来なかったので、俺たちはお風呂に入り、歯を磨き、眠ることにした。
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