俺の転校先の学校の隣の席は完璧美少女元カノだったー嫉妬さえ失くしてくれたら完璧美少女なのに〜

第30話家庭訪問

今日は家庭訪問の日だ。まだ始業してから少ししかしてないのに家庭訪問なのにはちゃんと理由があって俺が転入生ということもあり、俺だけ少し早めているらしい。だが、そこで一つだけ問題が出てきた。

「は、初音？そろそろ先生が来る時間だから外か、せめて部屋の中にーー」

「嫌」

　と、言って、聞かない。同棲してるのが生徒ならまだしも先生にばれると面倒なことになるのでせめて部屋の中には居てほしんだけど、なぜか玄関から動こうとしない。

「でも、同棲してることが先生にばれたら面倒なことになるんじゃないのか？」

「別に？っていうかそーくんこそ何をそんなに警戒してるの？まさか、先生が若くて胸が大きいから口説こうとしてるの？それで私が邪魔だから私を追いやろうとしてるの？」

「いや、そういうわけじゃ・・・」

　この前の素直な初音はどこに行ったんだ・・・またいつもの状態に戻ってるじゃないか・・・

「じゃあ、別に私がここにいても何の問題も無いよね？」

「で、でも家庭訪問って基本的には生徒と先生の対話なわけだし・・・」

「そんなに私って邪魔？」

「いや・・・ごめん、なんでもない」

　と、俺はこれ以上話したらまた「そっか、じゃあ監禁だね♥」とか言ってまた地獄への片道切符を使うことになりそうなので、俺はおとなしくそのまま先生を待つことにした。

　それにしても、先生にこの状況をどう説明するのか、考えないといけないな。

　そして、しばらくして、チャイムが鳴り響いた。先生が来たらしい。俺は扉を開けると、先生に挨拶をした。

「こ、こんばんは」

「こんばんは、最王子君、ものすごく高そうなおうちに住んでるんだね」

「あ、いや、この家はーーーー」

「そうなんです♥私とそーくんは一緒に住んでるんですよ♥」

「・・・白雪さん？」

　先生は少し驚いた顔をする。それは当然だ、男生徒の家に家庭訪問に来たのに、同じクラスの女生徒が家庭訪問の席に同席してるんだから・・・

　そして、俺はとりあえず先生を玄関に招き入れた。

「えーっと、なんで二人は一緒にいるの？」

「あー、これはですねーー」

「同棲してるんですよ」

　・・・俺がさっきまで考えていた、この状況を説明する文章をすべて無碍にされてしまった。

「ど、同棲？こ、高校生同士で？」

「はい♥」

「そ、そうなんだ・・・」

　本来ならかなりテンションが高そうな七海先生が若干初音の雰囲気に吞まれてしまっている。

「まあ、今はあんまり関係ないからまた今度にするとして、とりあえず家庭訪問の方を始めるねー」

　ど、どうでもいいことはないと思うけど、新卒ということもあり、かなり頭が柔らかいみたいだ。まあ、俺としては同棲していることについて、深く言及されないのはありがたいんだけど、初音がそこで七海先生の言葉に反応したように言う。

「か、関係無い・・・？」

　初音が怒ったように言う。ま、まずい・・・

「は、初音？い、今は落ち着いてーーーー」

「私とそーくんの同棲が何の関係もないってどういう意味ですか？そーくんと私の関係なんてどうでもいいなんて言うんですか？それは先生がそーくんを狙っていて、私とそーくんを引きはがそうとしてるからですか？」

「・・・・・・」

　その想像力をもっとポジティブな方に使ってみてほしい。

「いや、そんなつもりじゃないけど、っていうか私別に年下の趣味なんて・・・ないわけじゃないけど」

　無いわけじゃないのか。

「と、とりあえず、家庭訪問を始めまーす」

　先生はあっさりと流した。そこからは普通の家庭訪問だった。・・・ま、まあ初音がいることを覗いてだけど。ことあるごとに初音が先生にちょっかいをかけていた。それでも先生はその外見とは裏腹に大人な対応で対処していた。そして・・・

「これで終わりねー、ありがとー」

「あ、は、はい、ありがとうございました」

　そして先生が俺に耳打ちをしてきた。

「最王子君も大変だね、これだけ大変な彼女がいると、まあ、頑張ってね♥」

　そして、先生は扉から外へと出て行った。

「そーくん、何鼻の下伸ばしてるの？」

「べ、別に伸ばしてないよ」

「じゃあ、キスして？」

「いや、なんでいきなーーーー」

　初音がいきなりキスをしてきた。・・・柔らかい。って！

「な、なんでいきなりーー」

「じゃあ、私ご飯作るね♥」

　そういうと、初音は上機嫌でキッチンへと向かっていった。