第28話初音の塩対応

 あの初音からのよくわからない事件から約2日が経った。昨日は特に何もくぁることもなく終わり今日もまたいつもの日常が始まろうとしている。俺は今目覚めたばかりなのでベッドの上にいる。


 そして俺にはわかっている、どうせ横には初音がーーーー




「・・・あれ?」




 は、初音がいない!?昨日はいたのに・・・ど、どういうことだ?初音もようやくそういうことは段取りを踏んでからだと理解してくれたのか?それならそれでいいんだけど・・・なんかむしゃくしゃするな。


 俺は少しむずがゆさを覚えながら、洗面所に向かった。するとそこには初音もいた。




「あ、初音、おはよう」




「・・・おはよう」




 そう小さい声で言うと初音は足早に去って行ってしまった。・・・あれ?なんかおかしくない?


 その後も・・・




「初音!ご飯ーーーー」




「作り置きしてるから食べれば?」




 その後も・・・




「初音!この洗濯物ーーーー」




「かごの中にいれといて」




 ・・・何かおかしい。何か嫌われることでもしてしまったのか?いや、でも昨日は普通だったはずだ。じゃあなんで今日いきなりこんな態度になったんだ?昨日は本当に特に何も音沙汰なかったし・・・


 そう考えると二日前のあのフェロモン事件が原因なのか?だめだ!いくら考えてもわからない、初音に聞いてみよう。




「は、初音・・・?俺、なんかした?」




「ーーっ!べ、別に?」




 と、それだけ言うと、今度はどこか嬉しそうな顔で歩き去った。そんなに俺と離れられることが嬉しいのか・・・本当に何をしてしまったんだろう。まさか、あの夜俺は初音を無理やり・・・いや、それなら昨日の時点で変化があるはずなんだ。俺は何もおかしいことはしていないはず・・・


 まあ、とりあえず学校に行こう。登校中にでも話しかけてみよう。




「は、初音ーーーー」




 俺が登校中には常に声をかけると初音は少し早歩きになってしまった。・・・こ、こんなことは初めてだ。前に付き合っていた時でもこんなに避けられたことはなかった。本当にどうしたんだ?


 そして昼休み・・・




「初音ーーーー」




「生徒会の仕事あるから」




 こ、これが噂に聞く塩対応っていうやつなのか?俺には一生縁がない言葉だと思ってたけど、こんな気持ちになるとは・・・




「あの子、どうしたの?」




 月愛から声がかかった。




「いや、それがよくわからないんだよ、特に何かしたわけでもないのに急に塩対応っていうか・・・」




「ふーん」




「よかったら相談に乗ってくれないか?」




「え、私が?」




「私がって、月愛以外にいないだろ」




 っていうか俺にはそんな選択肢なんてない。この学校に転入してからできた新しい友達と言えば月愛だえだからなあ。




「い、いいわ、じゃあ私の行きつけの喫茶店でいいかしら?」




「あ、ああ」




 喫茶店なんて行くのか・・・まあ、そこはイメージ通りだな。まあ、呼んでたのはラノベだったけど。


 そして、とうとう放課後になり、俺と月愛は二人で月愛の行きつけの喫茶店へと向かった。その喫茶店は割と学校の近くにあった。二人で席に着くと、紅茶を頼んで相談することにした。




「女の子視点からして何かわかることはないのか?」




「そんな観点が私にあると思うの?」




「ごめん、質問を変える」




 そうだ、月愛は恋愛経験がない・・・多分。そんな月愛に恋愛相談は酷か・・・ならここは。




「じゃあ、ラノベの話でもしよっか」




「いつもと同じ?」




「あ、はは」




 そして俺たちは喫茶店で一時間ほど談笑した後、家に帰ることになった。そういえば転校してきてから初めて初音と一緒じゃない下校だな。・・・何か落ち着かない。


 そわそわしつつも俺は家の前についた。




ガタガタ




「・・・あれ?」




 鍵は空いたのになぜか開かない。中からロックされてるのか?ピンポンを押して初音に開けてもらおう。そして俺はピンポンを押した。すると、そこから初音の声が聞こえてきた。




「そーくん・・・おかえり」




「ああ、ただいま、なんか閉まってるから開けてもらえるかな?」




 俺はできる限り初音の機嫌を損ねないように優しい口調で言った。が・・・




「・・・なんで?」




 初音の塩対応はよりひどくなっていた。

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