第27話総明の理性

 私は隠し持っていたフェロモン香水の匂いを適量しみ込ませてあるハンカチでそーくんの鼻を塞いだ。




「んー!んー!」




 何かを言おうとしてるみたいだけど、もうじき理性が吹き飛んで、本能的に私を襲うはず・・・そうなったらそーくんと私は既成事実を手に入れることが鳴り、今後そーくんとの交渉材料として、かなり有効だと思う。そーくんは「え、私のこと、使うだけ使って捨てるの・・・?」とか言えば多分一発だと思う。


 だからとりあえず既成事実を作る必要がある。


 そして、そーくんの目の焦点が合わなくなってきたのがわかると、私はハンカチを離し、そーくんの上に倒れかかった。胸を押し付けるように・・・


 すると、どうやら効果はてきめんの様で、そーくんが位置を入れ替えるように押し倒してきた。そーくんはそんなに力が強くないから引きはがそうと思ったら引きはがせるけど私としては他の男ならともかくそーくんに押し倒されるのはむしろ望んでいたことなので、特に抵抗はしない。




「はあっ、はあっ」




「そーくん、いいよ♥」




 もう完全にそーくんは理性を失っている、本当にこんなに効き目があるなんて・・・こんなことならもっと早くに実行しとくんだった・・・




「キャッ♥」




 そして、そーくんは私の下着、ブラジャーのホックを外した。・・・本当にこれは現実なの?あのそーくんがこんなに積極的になるなんて。




「・・・っ!」




 そーくんは咄嗟に顔を背けた。理性は無くてもいつもの行動は反射的に出るらしい、さすがそーくん、でも・・・




「そーくん・・・」




 私はそーくんの顔を無理やりこちらに向かせた。ものすごく照れた顔をしている。可愛い・・・




「は、初音・・・」




 そして、そーくんが私の肩に手を置き、その手を伸ばした。




「だめだ、やっぱり順序を踏んでからやる、べきだ」




「えっ」




 そういうと、そーくんはそのまま私から顔を背けた。・・・あれ、なんで?




「そ、そーくん?」




「・・・・・・」




 ・・・え、寝てる!?嘘でしょ!?あそこまでしたのに!?なんでこんなに理性強いの・・・?それか、もしかして私以外に実はこっそり女を作っててその女と初めてを添い遂げたいから私とはできないってこと?いや、でもそれならそもそもあんな条件にしないはず・・・




「なんで・・・」




 私はそーくんの理性に呆れを覚えつつもそーくんを抱き枕のようにして、顔を近づけて、そーくんの匂いと呼吸と体温と心拍音を感じながら眠ることにした。


 心地良いけどまたそーくんと既成事実を作れなかった・・・


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