第24話 二回目の初音と恋愛ゲーム
あの、初音との駆け引きからすでにもう5時間、午後5時だ。あの後は特に何も音沙汰はなく、初音に関しては少し上機嫌だ。そして、家に帰ったと思ったらすぐに初音が「あの恋愛ゲームしよ!」と、言ってきたので俺たちは今俺の部屋であの意味の分からない恋愛ゲームをやっている。
「・・・あれ?」
なんかタイトルに‘攻略キャラ選択‘っていうのは増えてる。前に一つ目の選択肢を終えたからかな?まあいいや、とにかく押してみよう。
『彼女』
『今は元カノ』
『幼馴染』
・・・どれにしよう。俺的には普通に彼女と恋愛をしてみたい気もするけど、幼馴染も捨てがたい。
「ここは、変化球で幼馴染にーーーー」
「今は元カノ、だよね?」
「えっ・・・」
こ、この内容は少し初音に酷似しているな・・・
「あー、うん、そうだね」
俺は半強制的に『今は元カノ』を選ぶことになった。
『総明くーん、ちょっとお出かけしよ?』
(あいつは別れたはずの俺の元カノだ、容姿や成績は完璧なのに、嫉妬心が強すぎる女の子だ)
『いや、琴音、俺たち別れただろ?』
『別れてないよ?』
1『いや、別れたよ?』
2『じょ、冗談だって・・・』
3『今でも好きだ、愛してる』
・・・別れたはずの元カノにかける言葉・・・これ、どっかの誰かと似てるけど気のせいか?7まあ、ここは無難に2をーーーー
「そーくん、ここは3だよね?」
「いや、ここは2をーーーー」
「3だよね?もぐよ?」
も、もぐ?何を?髪の毛だよね。髪の毛ですよね?
「も、もちろん3だよ、あはは」
これは流石に絶対におかしい。っていうか別れたって言った直後に愛してるなんて完全にたらしの言葉だ。そんなセリフにときめく女の子がいるわけーーーー
『総明くん、嬉しい』
(琴音の体の温度を感じーーーー)
「そーくん?何浮気してるの?」
「いや、これゲームだからね?」
そして、そのあとの成り行きで喫茶店に行くことになった。が、そこでまたしても困難な選択肢が出ることになる。喫茶店がある大通りで、幼馴染と出会う。
『あれ、総明?その女の子誰?」
(俺の後ろから咄嗟に声がかかる、この声は聞き馴染んでいる声、明里の声だ)
『あ、明里、えーっと、この女の子はーー』
『何?総明くんのこと勝手に名前で呼ばないでほしいんだけど?総明君、もしかしてもう浮気したの?ねえ、浮気?ねえ、浮気なの?』
な、なんなんだこのゲーム、初音が言いそうなことをそのまま言ってる。
『監禁しちゃうよ?いいの?総明君が悪いんだよ?』
が、頑張れ主人公!
「琴音ちゃん、頑張って!」
隣の人が俺とは全く真逆のことを思っているらしい。でもここは主人公に頑張ってほしいな。
『う、浮気なんてしてないって!』
1『すぐに疑いすぎなんだよ!』
2『ほ、本当にしてないから!』
3『なら俺のことを監禁して確かめればいい』
これはかなり簡単だな。これは当然2をーーーー
「今回も3だね」
「は!?」
いやいやいや、監禁称号を取得している俺に言わせれば監禁してくれなんて言うやつは頭がおかしいやつだけだ。この主人公は俺に似てるからそんなやばいやつじゃない。
「今回ばかりは絶対に2だ!!」
そう叫ぶと、俺は2を選択した。
『浮気してる人の常套句だね、もういいよ、私のものにならないならーーーー』
【バッドエンド】
「・・・は?」
一つの選択肢でバッドエンド?っていうか2でバッドエンドってどういうこと!?
「ね?だから言ったでしょ?正解は3だって」
「いや、3が正解は絶対に無い・・・だから次は1だ!」
そして俺はもう一度同じところまで戻ってくると選択肢の1を選んだ。
『すぐに疑いすぎなんだよ!』
『何?私が重いっていうの?・・・私を受け入れてくれない総明くんなんてーーーー」
【バッドエンド】
「・・・・・・」
「ほらね?さっ、次は3だよ?」
俺は放心しながらさっきと同じ作業を繰り返し3の選択肢を選んだ。
『なら俺のことを監禁して確かめればいい』
『そ、総明くん・・・そこまで言ってくれるってことは本当なんだね、ごめんね、疑って』
『いや、俺も悪いところはあるし、俺もごめん』
お互いに謝って何とか事態は収束した。
「ね?」
「・・・・・・」
この裏切り者!!そうだった!あれは初音じゃなくて琴音だった、初音ならあそこで間違いなく『え?監禁していいの?じゃあついでに私の唾液ジュースあげるね♥』とか言って監禁を始めてた!琴音と初音を変えてくれ!!
俺は裏切り者であるゲーム内の俺、最王子 総明に心の中で嘆いた。
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