第22話初音と月愛の対面
目が覚めた。今日の夢は嫉妬がない世界で初音と付き合っている夢だった。・・・本当に夢のような生活だったなあ。あれを現実にしてほしい、切実に願います、神様。
「初音・・・」
初音、そう、一人の人間から嫉妬という感情を消してくださるだけでいいんですよ・・・
「どうしたの?そーくん、もしかして朝から私のこと考えてくれてるの?」
「うわああああああ!!」
またもや俺は上体を起こし、右隣を見ると、初音がかなり露出が高い下着で寝転がっていた。
「は、は、初音!なんでここに!いや、それよりなんて格好を!!」
「えー?そーくんこういうの好きでしょ?」
「好きじゃない!!」
「え、何?小さい胸なんて見たくないって?」
「あ、い、いや、そういう意味じゃ・・・」
いきなりその怖い感じになるのやめてほしい・・・
「じゃあ見たい?」
「え。い。いや、その・・・」
この空気・・・見たくないなんて言ったらどうなることか。いや、まあ、見たくないわけではない。初音は色白だし、胸の形も良さげでーーーーいやいや!違う違う!そういうことはちゃんと段階を踏んでから!
「はっ、早く朝ごはん食べよう!!」
そういうと、俺は布団から飛び出て顔を洗いに行った。はあ、危なかった。あんなの男子高校生には刺激が強すぎる・・・あと少しで本当に自制できなくなるところだった。
「もう、そんなに逃げなくたっていいじゃんー」
「いや!普通逃げるって!あと、あんなの男子高校生に見せたら自制がーーーー」
「自制が?」
「な、なんでもない!」
危ない、危うく自分から恥部をさらけ出してしまうところだった。
「えへへ、興奮した?」
「うるさい!」
俺はやけになりながら顔を洗い、急いで自分の部屋に戻り、制服に着替え、学校に向かった。そして急いで初音も追いかけてくる。
「もう!そーくん、ごめんって!今度からは裸で一緒に寝てあげるから♥」
「あー、もう、うるさいうるさい!!」
そんな様子で俺たちは学校に登校した。そして、教室に入った後も・・・
「じゃあ、裸エプロンとか?」
「だから、もういいよ!」
「もう照れ屋さんだね♥」
・・・こんなやりとりをもうすでに10回は繰り返している。すると、二つ前の席、そう、月愛が俺の席まで来て、話しかけてきた。・・・命知らずな!!
「最王子君、おはよう」
「あ、お、おはよう」
俺は心中冷や汗をかきながら返事をしたがそんなことなど気にせずに月愛はぐいぐい来る。
「昨日は脱水症状らしかったけれど、大丈夫?」
「あ、う、うん、全然大丈ーーーー」
「そーくん?その女この前の奴だよね?まだ反省してなかったの?」
と、すぐ隣にいた初音が刺すような声で話に割って入って来た。
「い、いや、別に浮気してるわけじゃーーーー」
「何?あなた、ちょっと話しているだけでそんなにがっつかないでほしいのだけれど?」
ええ!?そこはおとなしく謝るのが正解なんだよ!ああ、せっかく今日は初音の機嫌がよかったのに何もかもが台無しだ・・・
「何勝手に私のそーくんと話してるの?」
「私のじゃないでしょ、今世の中は民主主義で個々に人権はあるのよ?学業はできても最新の情勢については詳しくないのね」
・・・この二人、火に油だ。女の子のこんな怖い空気に慣れることはおそらくないだろう。でも世の女の子たちはこんな修羅場を潜り抜けているのだから本当にすごいと思う。こういう時はどうすればいいんだ。
「は?だからその個々であるそーくんが私のものなの、何語で喋ればわかってくれるのかな?」
「あなたこそ日本語は通じないのかしら、その個々である最王子君はあなたのものになると言ったの?」
「もちろん、ね?そーくん」
「えっ・・・・・・」
いや、そんな空気で俺に振られても困るんだけど・・・俺修羅場初心者だよ!?
「いや、それは、そのーーーー」
「はーい、みんな席に座ってー、HRを始めまーす、あっ!最王子君脱水症状もう大丈夫ー?」
「あっ、は、はい!大丈夫です!」
このタイミングと言いその容姿も相まって七海先生が女神様に見えてしまった。二人は不満といった表情でも、公に問題を起こすわけにはいかないため、席に着いた。こういうところは一部の男子と違って助かる。もしこれがその一部の少し頭が弱い男子なら間違いなく先生なんて気にせず問答を続けていたことだろう。
でも、これは問題を先延ばしにしただけだ。何か考えないとな・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます