第21話初音に弁解

 俺たちは家についた後、俺の部屋で小さなテーブルを挟み、対面した。




「で?そーくん、浮気してないのは本当なんだよね?」




「うん!もちろん本当だ!」




 初音はようやく話を聞いてくれる気になったらしく、ここからは少しの嘘も混ぜていかないと・・・いや、ややこしくなる前に真実を話した方がいいのか・・・?


 ・・・嘘も方便を使い分けるのは話の流れで考えよう。




「へえ、じゃあ、あの女と何か話したの?」




「ああ、まあ、ちょっと・・・」




「ちょっとって?」




 ここだ、どうする?あの恋愛ゲームだったらどんな選択肢が出るんだろう。考えろ・・・




「ちょっと本のことで話してただけだから」




「それは私じゃダメなことなの?」




「ああ、いや、ラノベだから、初音はーー」




「じゃあ、私がそのラノベってやつを読めればあの女とは話さない?」




「え?ま、まあ・・・」




 俺は返答を濁す。




「でもやっぱり生徒会の仕事なんかでそーくんを浮気の危機にさらすなんて失敗だったね、これからはやっぱりそーくんを監視しとかないとね」




「は、はは・・・」




 この件でさらに束縛が厳しくなるのかもしれない。っていうか俺今日学校休んだことになってるのかな?いや、まあ休んだんだけど。




「なあ、そういえば俺はどんな口実で休んだことになってるんだ?」




「あー、朝立ちが収まらなくて休んだってことにしといたよ?」




 ・・・はあああああああああああ!?!?!?!?!?




「そんなこと言われたら俺明日から俺学校いけないじゃん!う、嘘だよね!?」




「うん、嘘だよ」




 なんだ、本当に嘘なのか。よかった・・・本当に悪い冗談をよく言うな。




「あ、でも処理に困ったらいつでもーーーー」




「そんな話はどうでもいいから!なんていう口実で俺は休んだことになってるの?」




「あー、本当はね、脱水症状っていう口実で休んだことになってるんだ」




 ・・・いや、それ地味に口実じゃなくて事実なんだけど。俺本当にあと2日で脱水死するところまで来てたからね?




「そ、そうなんだ・・・まあ、とにかくわかったよ」




「じゃあ、そういうわけだから、私にキスして?」




「あー、うん。わかった、キスーーーーは!?キス!?」




 突発的なキス発言に俺は驚く。初音と再会してからはそういうことはしてなかったのに、とうとうそういう欲求が出てきてしまったか・・・初音と付き合ってるときもそういう欲求は多かった。


 まあ、まだ一戦は越えてないけど・・・初音は一線を越えたかったらしいけど・・・




「ま、まだ復縁してないんだし、そういうことはーー」




チュッ




「んん!?」




 初音に一瞬だけキスをされた。




「今はまだそーくんが私と一生を添い遂げる覚悟ができてないみたいだからこのぐらいにしとくね!」




「・・・・・・///」




 い、いきなりのキスに俺は咄嗟に顔を背けた。




「あっ!そーくん照れてるー♥」




「照れてない!」




 そんな感じで今日は終わりを迎えた。・・・本当に大変な日だったな。まさかちょっとほかの女の子と話しただけで監禁して、挙句の果てに脱水させるなんて・・・恐ろしい。


 でも、そんな今日も終わりを迎えた。また明日が始まる。




「・・・はあ」




 明日からのことを考えると、思わずため息が出てしまう。このセリフも、もう何度目だろう。




「神様、この世界から嫉妬というのを消してください」


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