第13話部活?
そして俺は職員室の前についた。小学生でも中学生でも高校生でも、この職員室に来る時の緊張感だけは変わらない。その証拠に俺は今職員室の前に呆けている。
「よし」
俺は覚悟を決めてこんこんとノックした。すると・・・
「はーい、あ、最王子君、ささっ!入って入って!」
「え?ちょっ、ちょっと!?」
俺は担任の先生に引っ張られて先生の席と思しき場所まで連れてこられた。
「じゃあ、まずは私の自己紹介をするね?私は新卒ぴちぴちの新任教師の七海咲葉だよ!よろしくね!」
「あ、はい、よろしくお願いします」
な、何だこの人。昨日の「次に、この2年からこの学校に転校してくることになった転校生を紹介する」とか「じゃあ君はあそこの席に座りたまへ」とか言ってた人と同一人物とは思えないんだけど・・・
「あ、あの・・・」
「んー?どうしたのー?」
「な、なんか昨日とキャラっていうか口調とか違わないですか?」
「ああ、あれはなんか先生っていう感じでかっこいいからやっただけで素の私はこっちだよー」
「な、なるほど・・・」
昨日は若そうなのに大人びてるなあ、とかひそかに思ってたのに思いっきり勘違いだったとは・・・女性って怖い・・・
「で、君をここに呼んだ理由んなんだけど、君って転校生なんでしょ?私も新卒だからよく知らないけど」
「あ、はい、そうです」
っていうか新卒の人に担任をやらせるなんて、この学校はどうなってるんだ?もしくはこの人が優秀とか・・・?いや、ないか、さすがにこれで優秀だったら全人類が優秀だもんなあ・・・
「すいません」
「え、いきなりどうしたの?」
頭の中でとはいえ先生を‘これ‘呼ばわりしてしまうとは・・・反省。
「まあいいや、でね?最王子君は部活とか入るの?」
「あー、んー」
部活・・・部活かあ、どうしよう。高校一年生の時、俺は部活に入っていなかった。なぜなら部活に入ろうとすると初音が決まって「部活に入るのはいいけど女と話したら監禁だよ」と、冗談とは思えない感じで言ってきていたので入れなかった。
・・・あ、そういえば、
「初音ーー白雪さんはどの部活に入ってるんですか?」
「白雪さん?あ、さては君彼女のこと狙ってるのー?まあ、君もそこそこかっこいいけど彼女には届かないんじゃないかな?」
「はは、そうならよかったです」
なんて返答を返し、七海先生は書類のようなものをパラパラとめくり始めた。そして・・・
「あー、白雪さんは部活には入ってないよ」
「あ、入ってないんですか」
なんか意外だな、影響力を高めるとか言ってた割りには部活に入ってないのかーー
「うん、生徒会には入ってるけど」
そっちかー!確かに部活なんかよりは生徒会の方が全然影響力がありそう。
「ち、ちなみに役職は?」
「副生徒会長」
「・・・・・・」
終わった、副生徒会長なんて、なんでそんな高位な地位によりにもよって初音が・・・初音ならいやでも職権乱用する未来が見える。
「君も生徒会に入るの?」
「いやいや!入らないですよ!」
「そう?まあいいけど、で?部活はどうするの?」
「んー・・・」
ここは何も入らない方が良いかもしれないな。余計なトラブルの種を増やしたくないし、何より部活なんて俺の性に合ってない。
「入りません」
「そう?わかった、じゃあ、もー帰っていいよー」
軽っ!まあ、堅苦しいよりかはましか。
そして俺は職員室を後にし、校門まで向かった。するとそこには初音がいた。
「ごめん、お待たせ」
「ううん、待ちたくて待ってるんだもん!」
と、曇りのない笑顔で笑う初音と昨日の悪魔が同一人物とは俺には思えないよ・・・
「で?部活はどうしたの?」
「ああ、何も入らないことにした」
「そう♥」
初音は嬉しそうに答えた。やはり部活には入ってほしくなかったみたいだな、俺自身も入りたくなかったし、ちょうどいい。
「じゃあ、帰ろ?」
「うん」
そして俺たちは‘俺たち‘の家に帰ることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます