第11話学校生活の始まり

 学校に登校した俺は俺のクラスである2年2組に向かった。2年生の教室はすべて2Fにあるので階段を上らなければいけない。本当に何の嫌がらせなんだろう。


 そして俺と初音は階段を登り、自分たちの教室に入った。




「おはよー!」




「おはよう白雪さん」




「おはよー初音!」




 ・・・どうやら本当に影響力は強いらしい。でも、これは厄介な事実かもしれないけど、逆に言えばチャンスかもしれない。以前の初音は俺に執着しすぎていて周りの人と関わろうとなんてしていなかったら全く希望が見えてこなかったけど、もしかしたら初音が俺以外の人を好きになる可能性もある。


 なんていう考えを頭の中で考えながら俺は自分の席に着いた。そして俺の隣の席に初音が座る。しかし、こんな偶然があるのか?まあ転校先の学校に元カノがいた、なんていうのはもしかしたら少ないけどあるのかもしれない。でも、同じクラスでしかも隣の席なんて・・・


 どう考えてもおかしいよな・・・




「どうしたの?そーくん」




「あ、いや、なんでもない」




 まさか、初音が何かしたとか?いや、考えすぎだ。何かしたって、初音が学校に何をできるんだって話だしな。




「ねえ!最王子君って何か趣味とかあるの?」




「かっこいい名前だね!」




「えっ、あ、あの・・・」




 転校生ということもあってかクラスのみんなが俺の席に集まってくる。普通に考えたら嬉しいことなのかもしれないけど、俺からしたら本当にやめてほしい。


 隣をチラッとみると案の定神妙な、いや厳粛な顔をしてこっちを見ていた。




「あ、あはは、え、えーっと趣味はーーーー」




「そーくん!」




ギュっ




「えっ」




 いきなり初音が俺の右腕にくっついてきた。それを見たクラスメイトは茫然としている。




「え、えっと・・・初音と最王子君って付き合ってるの?」




「いや、そんなわけないでしょ、昨日転校してきたばかりだよ?」




「だよな、白雪が付き合ってるとか俺を含めた男が泣くぞ」




「付き合ってるよ?」




「「「「「え?」」」」」




 言われてしまったああああああああああ!その言葉を言われる前に退散しようと思ったのに。ど、どうしよう。そ、そうだ!チャイム!前みたいにチャイムが鳴ってくれれば・・・


 あと5分かあ・・・粘れるか?




「い、いや、そのまあ付き合ってるっていうかー」




「付き合ってるよね?そーくん♥」




「えー、本当に付き合ってるの?」




「どういう関係なの?」




 ま、まずいこの場が収集をとどめていない。高校生なんていうものは恋話に目がないものだというのがよくわかる。ましてや初音のことだ、きっと告白の嵐は起きているだろう。そんな初音が付き合っているなんて事になったらそれはもう大惨事だろう。




「ねえ、ねえ、なんでずっと黙ってるの?」




「もしかして、最王子君浮気とかしてたりして!なんちゃって!」




「・・・・・・」




 いや、その冗談は本当にやめて、命にかかわるから。




「浮気・・・?」




 ほら、目のハイライト消してこっち睨み始めたよ・・・




「い、いや、浮気っていうかそもそも俺たちは付き合ってなーーーー」




キーンコーンカーンコーン




 いや、これまた最悪なタイミングでチャイムが鳴ったな。




「俺浮気なんかしてないからー!!」




 本当は初音と恋人ということを否定したかったけど、あのままうやむやになって浮気する最低転校生、なんて肩書を持つよりはずっとましだと優先順位をつけ、俺は判断した。


 判断力は大事だということを改めて知らされる。




 そして初めてこの高校初の授業がとりあえず昼までの分が終わった。そして昼休み・・・




「あ、そーくん、お弁当作って来たから食べて!」




「あ、う、うんそれはいいけど、この学校って屋上とかある?」




「あー、あるけど、屋上で食べるの?」




「うん、それがいい」




 教室でお弁当なんか食べてたらまたさっきのように仮修羅場みたいなことになってしまう。もうあんな思いをするのはごめんだ。俺が本当に浮気して修羅場になるなら悪いのは俺だしおとなしく受け入れられるしむしろ謝罪するけど、俺は何もしてないのに修羅場になるなんてさすがにごめんだ。


 だからとりあえず屋上に出てできるだけひっそりお弁当を食べたい。




「じゃあ、行こっか」




「うん」




 そして俺たちは階段を2F分登り屋上に行った。屋上は鉄格子のようなもので囲まれていて、思った通りあまり人がいない。




「じゃあ、食べよっか!」




「うん」




 そして俺たちは初音が作ってくれたお弁当を食べた。そして食べながら初音が話題を振ってくる。




「そーくん、浮気してるの?」




「は!?」




 そうだった、思いっきりその話題を忘れていた。




「いや、まあ浮気はしてないけど、そもそも俺たちもう付き合ってないし・・・」




「いつまで言ってるの?」




「え?」




 ま、まずい、逆鱗に触れてしまったかもしれない。




「同棲して一緒の朝ごはん食べて一緒に登校して一緒に授業受けて一緒にお昼ご飯食べて・・・それでも、彼女じゃないの?」




「・・・・・・」




「だったら、そーくんにとって私ってなんなの?」


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