第9話初音のオムライスの隠し味

 そしてさっきのフィギュア嫉妬事件から少し時間が経って初音がオムライスを作ってくれた。




「わあ、美味しそうだね!」




「ほんと!?ありがと!」




 バターの匂いが心地良く鼻まで届いてきて、素材の匂いと調味料の良い感じの匂いが混ざってこれまた良い匂いだ。見た目は本当にふんわりとしていて美味しそうだ、本当にプロの人が作ったみたいだ。




「いただきます!」




「はい♥」




 そして俺はケチャップでハートが描かれていたのを思いっきりスルーし・・・いや、もう特に反抗することもなく受け入れることにした。

 けど、別に復縁したわけじゃない。




「うん!美味しい!!」




 味はやっぱりおいしいのでそこがまたむしゃくしゃする。ケチャップと少し焼かれた白米、そして卵の愛称が抜群に良い!本当に味は最高だ!!




「そ、そう?あ、ありがとう///」




 ・・・ん?様子がおかしい、なんか歯切れが悪い気がする。




「ごめん、なんかおかしなこと言った?」




「いや、その・・・美味しいって言ってくれたから」




「うん、言ったけど・・・」




「実は、そのオムライス隠し味があるの」




「隠し味?」




 へえ、全然気づかなかった。何か調味料に秘密があるのかな?確かに鉄分の味がしたけど。・・・ん?鉄分?・・・いや、まさか、な。




「ち、因みにその隠し味って・・・?」




 おそるおそる聞いてみると、初音が少し頬を赤らめながら答えてくれた。




「・・・血///」




「・・・血?」




「・・・血」




「ち・・・血?・・・は!?血!?」




 俺は思いっきり驚く。これまたラノベとかでよく見る展開だけど、冗談だろ!?




「だ、誰の?」




「わ、私の・・・///」




 ・・・な、なるほど。それでさっきあんなに照れてたのか、でもさすがに戻すわけにはいかないし。飲み込んでしまったものは仕方がない、ここは嘘でも合わせておこう。




「あ、ああ、うん、美味しかったよー」




「うん、全然いいよ、これからも作ってあげるね!」




 いや、それは困る、どうしよう、何か作らせないためには・・・あ!そうだ!




「いや、それはいいよ、初音にこれ以上失血してほしくないし、俺は初音の体の方が大事だよ」




「そーくん・・・」




 よし!これでおそらく次からは血入りの料理が出されることはなくなるはずだ。おして俺はお皿を平らげた。ここまで来たらもうやけだ。


 そして二人してオムライスを食べ終わったら初音が話題を振って来た。




「でも、ずっとそーくんの部屋で食べるわけにもいかないし、土曜日ついでにリビングの家具も見てみよっか」




「そ、そうだね」




 確かにこのまま俺の部屋でずっとご飯を食べるわけにもいかない。それはどうにかしないとな・・・




「じゃあ、俺お風呂入りたいんだけど、先入る?」




「いや、そーくんが先に入ってて」




「わ、わかった」




 そして俺はお風呂場へと向かった。・・・いや、広っ!こんなに広いお風呂なんて世界にあるんだ、普通の家に。いや、普通ではないんだけど・・・


 お風呂を沸かし、服を脱いで、しばらくしたらお風呂が沸いたのですぐにお風呂に入ることにした。




「ふう・・・」




 きちんとシャワーをし、シャンプーをしてボディーソープで体を洗ってからお風呂に浸かった。




「ほわあ・・・・・・」




 温かい。この時間が永遠に続けばいいのに・・・




「・・・・・・」




 それにしてもおかしいな。以前の初音なら「お風呂一緒に入ろ♪」とか言いそうなのに、どうしたんだろ?もしかして成長したのかな?だったら本当に嬉しいけど。・・・ん?


 ・・・まさか!俺がお風呂に入ってる間に俺のフィギュアを!?


 俺は危惧を察し、すぐさまお風呂から出て、急いで俺の部屋に向かった。が、誰もいなかった。そして後ろから初音の声がした。




「きゃっ♥見えてるよー♥」




「え?」




 俺は急ぐあまり裸のままだった。




「うわあああああああああ!!」




 俺は急いで下半身を隠した。




「で?どうしたの?」




「いや、別に・・・」




「へえ、押してダメなら引いてみろって男の子には本当に有効なんだねー」




「なっ・・・!」




 それを試すためにさっきはあんなにすんなり承諾したのか、くっ、まんまと罠にはめられた気分だ。




「まあ、そろそろその子も我慢の限界だと思うし、お風呂に入ってきたら?」




「その子・・・?」




 そう言いながら初音は俺の下半身をじっくりと見る。




「が、我慢なんかしてないし!!」




「またまたー、私に裸見られて興奮ーーーー」




「うるさい!」




 俺は急いでお風呂へと戻っていった。




「はあ・・・」




 結局何もなかったな。まあ、何も無いならないでいいんだけどさ。そして俺はお風呂を上がり、服を着た。




「あ、そーくんあがった?じゃあ私はいるねー」




「うん」




 そして初音がお風呂に入った。よし、初音がお風呂に入っている間に自分の部屋で寝よう!そしてあわよくば今日の出来事が夢でありますように!


 俺は拙な願いを胸に深い眠りへと落ちていった。




ー初音partー




「はあ、あ、もうそーくんは寝ちゃったんだろうなあ」




まあいいや。今日は念願のそーくんの‘残り湯‘を堪能できる!




「はあ・・・数分前までここにそーくんが、それに今日はやっとそーくんと同棲もできた」




 ついでにそーくんの裸も見ちゃった♥




「はあ、今日からは夢の毎日が始まるんだろうなあ・・・♥」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る