第4話初音の本気

 そして俺たちは昼ご飯を食べるべく、10分小走りで着たら来れるぐらいの場所にあるかなりでかいデパートに来ていた。ここなら大抵どんなものでもある。


「デートみたいだね♥」


「だ、だからもう別れてるって・・・」


 ・・・他の女の子との接触さへ無ければ本当に完璧な美少女なんだけどなあ。


「で?どこに行くの?」


「んー、初音はどこがいい?」


「私はそーくんが一緒なら留置所でもいいよ?」


「いや、何もしないでね?」


 なんて、冗談とは思えな冗談を交えつつ、俺は自分がどこに行きたいのかを考えた。んー、今食べたいものか・・・んー、なんか何でも食べたい気がするなあ。でもそんな都合のいいお店ーーん?


【今なら半額! バイキング!!】


「ーーーーっ!!」


 あれは・・・まさに俺が今求めていたもの!!だけど、初音はどうだろう。女の子だし、いっぱい食べるのとかには抵抗があるかもしれない。


「な、なあ、初音、バ、バイキングでも・・・いい?」


「うん!全然いいよ!そーくんも一緒なら!」


 と、曇りのない笑顔で答えてくれた。そして俺たちはバイキング屋さんの中に入り、自分たちの席に荷物を置き、食べ物を取りに行った。


 バイキングとは、お肉料理や、麺料理、スイーツなんかまでがすでにできた状態で置いてあって、それを自分たちが好きな量、好きな分だけ食べることのできる場所のことを言う。もちろん時間制限付きだけど・・・


「んー、どうしよう・・・」


 俺が何を食べようか迷っていると、若い女店員さんが話しかけてきた。


「どれにしようかお迷いでしたら、こちらの商品なんかは今おすすめですよ」


 と、言いながら俺に見せていたのは旬のケーキ寿司と言った、なんとも斬新な食べ物だった。


「ありがとうございます!これにしてみます!!」


 と、言いながらお寿司を自分の席まで運んだ。初音はもう食べ物を選んで待っていたらしい。サラダとパスタのいかにもな感じの料理だ。


「じゃあ、食べよっか!いただき────」


「待って」


 と、初音が声を海底で表すと5000Mぐらいの声で言う。


「えーっと、どうしたの?」


「あの女店員さんとずいぶん楽しそうに話してたね、ものすごく笑顔で、しかもあの女が選んだ料理を食べることにしたんだね、どういう関係?なんであの女が選んだ料理を躊躇なく選んだの?まさかこのお店に来た理由はあの女に会うため?何のために?ねえ?どういうことなの?」


 と、何かよくわかないことを言っているので、とりあえず謝ることにした。


「ごめん」


「ごめんって何?じゃあ、認めるの?あの女と何かしら関係があるってことを認めるの?じゃあそれってどんな関係?ねえ言ってよ?私に言えない関係なの?」


 ・・・わ、忘れてた!初音との会話で‘とりあえず謝る‘というのは禁句だった!それは自分に非があることを認めたことになり火に油を注ぐようなことだった。


 ・・・いや、でも待てよ?別にもう彼女ではないわけだし、特に言い訳する必要もないのか?そうだ、もう付き合ってないんだから言い訳なんてする必要ないんだ!なら・・・


「べ、別に関係ないだろ・・・俺と初音はもう付き合ってないし」


 これで俺たちが別れているということを受け止めてほしい。


「・・・あっ、そ」


「・・・・・・」


 な、なんだ?なんかもしかして火に油しちゃった?いや、でも関係ない!もう俺たちは付き合ってないんだ!なれたとしても仲の良い友達だ。


 初音とは友達になれたら本当にいいと思う。友達なら嫉妬されることも束縛されることもない。つまりは初音の悪いところはすべてなくなるからだ。


「そんなこと言うんだ・・・へえ・・・」


「だ、だって、実際そうだし・・・」


 そうだ、ここでどれだけ怖くても引くわけにはいかない。・・・そう、俺は今初音が怖い。本当にこういう怖さは二次元にだけ存在するべきで現実に入らない怖さだ。これが中学生ならとっくに泣いていてもおかしくないぞ・・・


「はあ、仕方ないよね、あれするしかないか」


「・・・あれ?」


「ねえ、そーくんは私が普通の人達よりはお金持っているの知ってるよね?」


 確かに初音はお金持ちだ。両親がかなりお金を持っており、さらには初音の両親も娘を好いてはいるけど放任主義なので一ヶ月の仕送り量なんて普通のサラリーマンの年収の2倍はある。


 でも、もしかしてお金で俺を釣ろうとしてるのか?


「お金で俺を釣ろうとしてるなら、その考えはやめ────」




「あ、違う違う、そうじゃなくてね?そーくんと一緒に同棲しちゃおっかなーと思って♥」


「・・・え?何言ってんの?俺たちまだ高校生だよ?」


「うん、でも高校生でも同棲してる人はいると思うしー、お金には全然余裕あるからね」


 いやいや、そういう問題じゃなくて!とは言えなかった。そんなことをしたらそれおそ本当に火に油だからだ。それよりなんで・・・


「なんでいきなり同棲なんて言い出したんだ?」


「だってー、そーくんは嫌でも私と付き合ってるっていうのを認めてくれないしー」


 こっちから言わせると初音が俺と別れたことを受け入れてないんだけどなあ・・・


「だったら、同棲して、監禁しちゃおっかなあって」


 あー、なるほど、確かに同棲すれば俺の行動は筒抜けにーーって監禁!?


「はあ!?何言ってんの!?監禁って、思いっきり犯罪だぞ!!」


 そう、現実のこういうやばい人たちの弱点はそこにある。二次元なら犯罪なんて気にせずやばい人たちのご都合展開になるんだろうけど、残念ながら現実はそう何もかもうまくはいかない。


 もし俺の消息が絶たれたとあれば学校側などを通して警察が動き、街中にある監視カメラなどを通して、俺のことを助けに来てくれるだろう。


「えー、話聞いてなかったの?私の言い方では監禁だけど、世間的な言い方をすれば‘同棲‘なんだよ?」


「・・・は?」


 そういうことか!同棲扱いなら何をしてもいいってことか!でもそう、うまくはいかない!


「でも監禁ってことは俺を家の外に出さないつもりなんだろ?でも学校の人たちはそんなことになったらどう思うかな?転校生が不登校になったなんて、学校側は嫌でも認めたくない事実のはずだ!だからその計画には穴がある!!」


「かっ、彼は過度な花粉症で、学校に来れる状態じゃないんです・・・」


「なっ・・・」


 初音は目を潤ませながら儚げに言う。初音は中学の時演劇部に入っていて、さらにはその演劇部でも最高蜂の演技力を誇っていた。らしい・・・でも・・・



「こ、こんな演技だけで先生が納得するわけーーーー」




「私はそーくんと少しの間別れて気付いたことがあってー、周りの力も大事だなあって、だから私は転校してからは友達もたくさん作ったし、成績優秀の優等生も演じてるんだー、まあもちろん全部嘘だけどねー」


 これを通して初音が言いたいことは自分には説得力があるから大丈夫ってことか・・・


「そういうわけだから、同棲しよう?」


 そうだ、だけど、そもそもこの同棲は俺が同棲することを認めなければ始まらない!それならまだ勝機はある!!


「俺が承諾すると思うのか?」


「うん」


 そういうと、初音はスマホを取り出した。


「そ、そんなの!ばらしたかったら勝手にばらせ!」


 俺の自由と引き替えならそのぐらい安いもんだ。


「いいの?」


 そう言いながら見せてきた映像は・・・


「あんっ♥あんっ♥あんっ♥」


 俺が高校一年生の時に友達に借りて18禁のエロゲをプレイして、俺にはまだ早いと思ってやめた時の映像だった。


 は、初音は本気だ・・・

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