第9話:命
「おんぎゃあ、おんぎゃあ、おんぎゃあ、おんぎゃあ」
「愛子様は何を怒っておられるのだ」
「違いますわ、貴男。
愛子様は単に発声練習されているだけですわ。
今はまだ十分に身体を動かせないので、大きな声を出して身体を鍛えているの。
何の心配もありませんわ。
それよりも貴男の方は問題はないのですか」
「心配いらないよ、奴隷達もおとなしくしている。
反抗的な貴族も士族も全員奴隷になっている。
愛子様が動けるようになられるまではおとなしくしているさ」
本当にそうだといいのですが。
ようやくこの国はトッテナム王家の下で平和になりました。
力のない民が横暴な王侯貴族に略奪されるようなことはなくなりました。
この平和を維持する事が私達の願い。
このままいけば成し遂げられると思います。
問題は復讐の女神が愛子様と私の魂を奪いに来る事です。
いえ、私はいいです、最初から魂を代償に援助をお願いしました。
ですが愛子様は違います。
愛子様は私達の為に助けに来てくださいました。
私達の為に復讐の女神を欺いて私の魂を奪わないでくれました。
たとえその行為に愛子様自身の欲望があったとしても、恩は恩です。
「貴男、今一度愛子様の待遇を確認しておきます。
愛子様は貴男と私の間に生まれた子供にする。
タイラー侯爵一味から奪った領地から愛子様の公爵領を作る。
それで宜しいのですね」
「ああ、それくらいはさせてもらわないと、受けた恩の万分の壱も返せない」
「公爵領は豊かな所にしてくださいね、貴男」
「申し訳ないが、それは約束できないよ。
奴隷達がどれくらいの間おとなしくしてくれているか分からない。
愛子様の魅了の力が消えてしまったら、全員殺さなければいけないかもしれない。
大きくなられた愛子様に以前のような力があるかどうかもわからない。
全ては『神のみぞ知る』だよ」
確かにそうですね。
バイロンも口には出しませんが、復讐の女神しだいです。
いつ愛子様と私の魂が奪われるか分からないのですから。
今を精一杯愉しんで生きるしかありませんよね。
「おんぎゃあ、、おんぎゃあ、おんぎゃあ、おんぎゃあ」
悪役令嬢に召喚憑依させられましたが、魅了の力が付与されていました。 克全 @dokatu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます