第35話「マクドナルド」
「マックの女子高生って実在しているのかな」鈴木赤が言う。
「今時マカーはそんなに珍しくないんじゃない。私もMacだし」棗昌が言う。
「そのマックじゃなくて、ハンバーガーの方のマックだよ」鈴木赤がそんなことも知らないのかという感じで言う。
「どうもMacです」からかうように言ってみる。
「こんにちはパソコンです」棗昌が合わせるように言う。
「だからそのマックじゃない」鈴木赤が今度はムキになって言う。
「Macなら簡単に写真やムービーを楽しむことができるんだ」追い打ちをかけるように言う。
「私だって色々できますよ」棗昌が続けて言う。
「棒グラフとか円グラフとか折れ線グラフとかだろ、どうせ」鈴木赤が一応乗ってくれる。
「マックの女子高生ってあれか、最後拍手喝采で終わるやつか」話を軌道に戻す。
「周囲の人たちが斬新な発言に感銘を受けて突然発言者を囲みだすあれだろ」棗昌もしっかり趣旨を把握していた。
「囲みなんて降格待ったなしのチームのバスにやるやつであって、無垢な女子高生相手に、しかもマックやスタバで行われるべきじゃないんだよ」鈴木赤が力説する。
「スタバでドヤるってそういうことなのか」棗昌がまたしてもふざけ始める。
「確かにMacはスタバで開くものだけど、そうじゃない」鈴木赤が訂正する。
「こんにちはMacです。今日は斬新な発言をした女子校生を囲んでみたいと思います」棗昌がさらなる追い打ちをかける。
「なっちゃんやるねぇ、それに女子校生の“校”の字がポイント高いね」棗昌の発言に高評価をする。
「高評価されるべきじゃない、フェイスブックか。でも段々趣旨に近づいてきたよ。つまり、その辺の大人の考えを架空の女子高生を通じて発信しているだけなんだ」鈴木赤が持論を展開する。
「でもさ、それってブーメランじゃないかな」心配して言う。
「なんだよ、私に中の人がいてそいつがおっさんだとでも言うのかよ」鈴木赤はさも心外みたいな顔をして言う。白々しいにも程があるが、そういう設定なのであれば敢えてツッコまないでおく。
暫くの沈黙が続く。
「なんで黙るんだよ」鈴木赤が言う。
「これ以上進むと私たちにまでブーメランが刺さるかなって」棗昌が恐る恐る口にする。
「ともかく私たちまでマックの女子高生化してるんじゃないかって言うことを危惧しているんだよ」鈴木赤が必死に言う。
そんな話を放課後のマクドナルドでしていたのであった。
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