第14話 何気にイチャつくな

食堂に女達4人が行くが誰も居ないからとそのま

まになったカップや皿を片付けていた。

少しして、ぞろぞろと男達が無言で戻って来るの

だ。ヴェルトがヴィオレ達の姿を見て静かにお願

いする。


「あと一杯だけ皆に呑ませてくれ……。」


真剣な兄の表情に頷き、静かに葡萄酒を用意する

テーブルに座る隊員達にカップを置いて行くのだ

がブロンがテーブルに突っ伏したまま、呟く。


「…やっぱり、削ろう……。」


その一言でニュイが静かに「先に休みます…」と

そそくさと部屋に戻って行った。

ヴィオレが兄のヴェルトを何とも言えない表情で

見ると妙な顔をするから、グリを見ると複雑な表

情で言葉を濁す。


「その、何と言ったらいいか。」

「えっ、まさか……。」


「「起立が違い過ぎた……。」」


隊員達が情け無い顔で深刻に言い出すから、リラ

とフルーが盛大に笑い出す。


「やだ〜もう!信じられない〜。」

「皆で比べたの?まったくもう馬鹿ね。」


「だって、違わなければ安心するだろう?かなり

…違ったけど。」


リラの夫が気まずそうに言うから。


「違って当たり前じゃ無いの?大体、ネージュは

初めてなんだからどのサイズでも同じで無理よ。

ゆっくり慣らすしかないじゃない?」


「そうそう、子供産むんだから。絶対に慣らしは

必要よまさかイキナリ合体?あなたそうだった?」


フルーが夫の側に行き見据えると、


「あ、ああ、そう。数日掛かったね。」


「もしも、ネージュが種族的にそっちがかなり小

さいなら、それなりに時間を掛けるしかないでし

ょう?ブロン様、大人なんだからネージュをちゃ

んとリードして。でなきゃ、子供すら産めない。

好きなんでしょ?しっかりして下さい!

だからネージュが余計に怯えるんですよ!」


リラが仁王立ちて鼻息荒く言い放つ、確かにと男

達が尊敬の眼差しになる。男とは至極……。

さすがにブロンも情け無い対応に気付き、頭を掻

くしか無かった。


「そ、そうだった、確かに俺が落ち着いて対応す

れば良い話しだよな、すまない。」


「まったく、隊長としては冷静で威厳があるのに

ネージュの事でこんなにヘナチョコになるとは、

削ったら益々ネージュが怯えるでしょうが!デカ

イならデカイなりに自慢して下さい!」


何だか格好良い演説なんだか、面白いのか突っ込

み難いが今度はヴィオレが吹き出して、


「リラ、カッコイイけど飲み過ぎ?ふふっ」


「だって、比べたって。まったく男の人って馬鹿

なの?サイズじゃないのに、女は気持ちが優先、

大好きであればそれでいいんです。」


リラがそう言いながら夫の頭を胸に抱き締めて。


「私もフルーもヴィオレ様も夫が大好きだから一

緒になったの。それにちゃんと身体が相手に合う

ようになるんです。ネージュもなりますよ。」


「嫁を大事にしろよ。

まったく独身組は羨ましくて仕方ないぞ。」


ジョーンヌの言葉にヴェルトも頷き同意見を言う

のだが後で色々と突っ込まれるのだがそれは後。


「まったくだな、女性が合わせてくれるかとは納

得だな、俺も真面目に嫁を探したくなったぞ。」


「さあ、ヘナチョコ隊長!頑張れ。戦さじゃ敵な

んざ軽く蹴散らす男だろ?もう彼女は手の中にあ

るんだ時間をかけるだけさ楽しめ、いやネージュ

をトロけさせろよ。」


ジョーンヌが力一杯背中を叩いて鼓舞する。真面

目なブロンが分かったと立ち上がるから、ヴィオ

レが素早く、木の上じゃなくてブロンの部屋にネ

ージュは寝てると伝えると頷きながら振り返る。


「皆、すまなかった。相談に乗ってくれてありが

とう。本当に助かったよ。」


と安堵した表情を見せて、珍しくフラフラと静か

に部屋へと歩いて行ったのだ。



食堂からブロンが居なくなっての事だ。


リラが胸に抱いていた夫の頭を離し、いきなり頭

ベシッと叩くのだ。かなりの音が響き全員がびっ

くりする。


「リ、リラ、どうしたの?」


飲み過ぎたのかとヴィオレが慌てるのだがリラは

夫の鼻を摘み。


「あなたじゃないの?比べる事になったのって?」


「うがっ、なんで分かったの?」


「やっぱり!もう!分かるわよバカ!大きいのだ

って普通に分かるわよ。」


「えええっ〜〜⁈」

「まさか?」

「どうやって?」


男達が叫ぶと、やはり酔ってるのか目の座ったリ

ラがフルーを呼んで二人で男達をみながら「顔と

か見たら大体分かるのよ」と言った後、二人で声

を揃えて言う事は……。


「「多分、ブロン様とヴェルト様が同じぐらい特

大で、次がジョーンヌ様が大きいかな〜で、多分

グリ様は〜〜」」


「わ、分かった!合ってるから!」


夫達が慌て妻の口を塞ぎ、他の男達が股間を隠し

ていた。グリがただびっくりしながら。


「す、凄いな。分かるのか…」


「あと以前、夫が結婚する前に話してた笑い話し

なんですけどね。娼館行った話でヴェルト様とブ

ロン様の相手が若い女性から年上に変わったって

聞いた時かな、リラと多分アソコが大きいからじ

ゃないかと笑ったけど当たりでしたね。」


ヴェルトが耐え切れず「ううっ恥ずかしい」と額

に手を当てて赤い顔で困っている。


「夫は気付かず、二人は熟女が良いんだな〜って

思ってましたけどね。」


リラがまたベシッと夫の頭を叩く。


「まったく鈍いんだから、確かにヴェルト様は熟

女にあたるかな?ニュイ様が好きだと思いますけ

どね。」


リラは酔っているから何気に爆弾発言するのだ。

ヴィオレが慌てて口を塞ぐのだが皆に当然聞こえ

て、ヴェルトが「なんで‼︎」と慌てた声を出してしまうがグリが笑いながら


「もうとっくの昔に皆知っていますよ。」


「多分、気付いて居ないのはニュイ様だけじゃな

いか?ブロンも分かっているよ。」


ジョーンヌの声に一番体格の良い筈のヴェルトが

縮んだようになって小声で震えながら聞いてくる。


「ブ、ブロンは、な、何と?」


「『二人の問題だし、ヴェルトと一緒になるに拒

否する気持ちにもなら無いよ。問題が有るのは2

つだけで父との関係。もう一つは呼び方だな兄が

いいか父がいいか』だとさ。」


今度はヴェルトがテーブルに突っ伏し喜んでるの

か恥ずかしいのか妙な声で唸っている。


「おい、喜んでる場合か?ニュイ様とはどうなっ

てるんだ?告白ぐらいはしたのか?」


「……ブロンが落ち着いたらと……」


テーブルに突っ伏したままで絞り出す言葉に驚き

全員で「いつの間に‼︎」と叫んでいた。何せニュ

イ様からはそんな素振りなんて微塵も感じなかっ

たのだから。


「なんだそれ、ガタイの割に素早いな?と言うか、

皆に全部はバレないって二人共凄くないか?」


ムクっと起き上がりちょっと赤い顔でニヤリとす

るから、一番侮れない奴だよとジョーンヌは大笑

いした後に、


「ちょっと待てよ、何が真面目に嫁を探すだ!」


全員が「全くだ‼︎」と大笑いしていた。

そんな最中に片隅でヴィオレがグリの膝に座り、


「わかった?私は貴方が丁度良いの。」

「うん。」


とまたまたイチャついてるから

全員で「部屋でしろ‼︎」と突っ込んでいた。

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