第7話:始末・ジェラルド侯爵フレデリック視点
「たすけて、助けて、フレデリック。
失敗したわ、失敗してしまったのよ、フレデリック。
あいつらは化け物よ、人間じゃないわ。
フレデリックが差し向けた刺客を皆殺しにしてしまったわ。
逃げるのよ、領地に逃げて兵士を集めるの」
「何故ここに来た、愚か者が。
これでは私が係わった事が明らかになってしまうではないか。
勝手に好きな所に逃げればいいだろう」
「何を言っていいるのフレデリック。
私を愛していると言ったのは嘘なの」
「やかましいわ、ベットの中の睦言を本気で信じるバカがどこにいる。
お前などダウンシャー公爵を殺すための手駒にすぎぬわ」
「そんな」
「お父様、私の事は護ってくださるのでしょ。
私はお父様の血を引く娘ですもの、匿ってくださるのでしょ」
「やかましいわ、尻軽女が産んだ娘など誰の子供か分かったモノか。
いや、これは失礼しましたダウンシャー公爵家のアリス嬢。
貴族の夜遊びのルールを弁えないメアリー夫人の振舞いに、つい乱暴な言葉を使ってしまいました、お許しください。
どうやらダウンシャー公爵家は家族内に諍いがあるようですが、当家には全く関係のない事ですので、関わり合いになる気はございません。
おい、屋敷から出て行っていただけ」
「フレデリック、助けてフレデリック、殺されてしまうわ、お願い」
「お父様、私はお父様の娘よ、助けてお父様」
「さっさと出て行っていただかないか」
「言うわよ、助けてくれないのなら全部話すわよ。
フレデリックが王家を滅ぼす気でいた事を話すわよ。
それでもいいの、フレデリック。
フィッツ辺境伯や多くの貴族が加担していた事も話すわよ」
「私も話します、全部話して命ごいます。
それでもいのですかお父様」
ギャアアアアア
キャアアアアアアアア
「何をする、フィッツ辺境伯!
ここで二人を殺してしまったら、ダウンシャー公爵に宣戦布告の口実を与えてしまうではないか!」
「もう茶番は終わりだ、ジェラルド侯爵。
策を弄するからこのような醜態をさらすことになるのだ。
さっさと兵を挙げて王家を滅ぼすべきだったのだよ。
さあ、本気で王位に就く気なら決断しな、しないなら俺が王になるぞ」
ちい、こんな力づくのやり方は好みではないのだ。
兵を用いて争えば国が荒れて隣国に付け入るスキを与えてしまうのだぞ。
荒れた国を立て直すにも時間がかかるのが分からないか。
だからこそ謀略を用いて国を乗っ取る心算だったのに、どいつもこいつも無能だ。
「隣国に付け入るスキを与える事はできんのだ。
国内で軍が争う事態は避けなければならん。
フィッツ辺境伯の力でダウンシャー公爵の首を取ってくれ」
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