第6話:襲撃・ダウンシャー公爵フランシス視点
「これを三人に渡しておく。
青が初級の回復薬、赤が中級の回復薬、緑が上級の回復薬。
そして金色がエリクサーだ。
何かあったら遠慮せずに使うのだ。
無駄死には許さない。
死なない事を第一に前もって回復薬を飲むのだぞ」
「「「……」」」
三人ともが大口を開けて何も返事できないでいるが、仕方がない。
融合した俺の記憶でもエリクサーは伝説の薬だ。
実在しているなんて誰も思っていないだろう。
俺は一度死にかけたのを復活したという評判になっている。
歴史あるダウンシャー公爵家が秘蔵していたという事で押し通そう。
いや、それでも一人一つ、合計三つのエリクサーは非常識過ぎるな。
「しっかりしろ、ぼんやりしていたら奇襲に対応できないぞ。
この屋敷には敵の手先がいると言ったであろう!」
「「「はい!」」」
「私について来い」
「「「はい」」」
気合を入れて屋敷周りに描かれている防御魔法陣を点検する。
俺自身の命と、愛するシェリルの命がかかっているのだ。
手抜きも後回しも絶対にできない。
今やれることは急いで全部やる。
そうする事でジェラルド侯爵とその手先を追い込み暴発させる。
慌てて暴発してくれたら粗が出るから逆撃しやすいのだ。
「痴れ者が!」
ウィリアムが目にも止まらぬ速さで動いた。
「ギャッフ」
「「「「「しねぇええええ」」」」」
「「「「「ウォオオオオオ」」」」」
最初の襲撃者は悲鳴をあげる事もできず、単語のような断末魔をあげて斃れ、物陰から襲い掛かってきた他の連中も次々と斃れていく。
ウィリアムが得意の長巻で襲撃者を撫で斬りにしている。
俺も三人に被害が及ばないように魔力ではなく剣で襲撃者を斃している。
屋敷にいる家臣でも使用人でもないが、誰かが手引きしなければ誰であろうと屋敷に入り込む事など不可能だ。
少なくとも警備の人間の誰かが手引きしているのは間違いない。
「では、手引きした者が誰なのか尋問していくか。
公爵家に伝わる特殊な自白魔術を使えば誰が手引きしたか、誰が襲撃を知っていて黙っていたか、いとも簡単に分かる。
屋敷にいる家族も一族も家臣も使用人も、全員自白魔術で潔白を証明させる。
まずは家族であるメアリーとアリスからだ。
俺とシェリルが殺されて一番得をするのはこの二人だからな」
敵を全員ぶち殺してから、わざと屋敷中に伝わるほどの大声で叫んでやった。
単に叫ぶだけではなく、拡声と伝達の魔術まで使って広めてやった。
メアリーとアリスがジェラルド侯爵の所に逃げてくれれば一番だ。
それを証拠としてジェラルド侯爵を断罪して襲撃する大義名分にする。
ジェラルド侯爵が証拠隠滅のためにメアリーとアリスを殺してくれても構わない。
家族を殺した事を理由に襲撃してやる。
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