第8話 心

 ちょっと手をみせてごらん。


 おっ。


 いいねえ。


 とてもきれいだ。


 え? そんなことないって?


 ボクの言うきれいは心のことさ。


 心なら胸じゃないかって?


 なら一つ教えよう。


 心は君の全身にある。


 例えば、急ごうと思えば足に。


 より良くしようとすれば頭、相手を思いやれば胸、話すときや食べるときは口、といった感じかな。


 嬉しいときの笑顔もそうだね。


 その時の君の気持ちに、身体から心が現れるんだ。


 そしてボクは君の手がきれいと言った。


 なぜだか分かるかい?


 君は作ろうとしているからさ。


 多くの人を喜ばせ、笑顔にするものをね。


 それは絵であったり、文章であったり、料理であったり、道具であったりする。


 他にも作れるものはいろいろあるだろうね。


 ボクはわくわくする。


 君の純粋な心から作られるものに。


 そしてボクには見えるよ。


 その手にある太陽と希望が。

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