#2

 後悔は夕焼け色と染まっていき、迫る夜は僕を置き去りにはしないが、朝を待つ余裕がある筈もなかった。

 それでも僕を乗せて回るこの世界だ。きっと君も、どこかで笑っているに違いない。淡い期待が揺れている。


 疎らに揺蕩うあなたの髪や袖口、微かに残る花の匂いが心に染み付いている。言葉も出ない程だ、なんて。ありふれたデジャブに頬を伝う雫さえも思い出となって消える。


 何もかもが遅すぎたのだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アルカナ e2ku @2jo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ