22冊目 『亜ノ国へ 水と竜の娘たち』
皆さま、こんにちは。
あさぎ図書館 館長の、
この、あさぎ図書館 ☆異世界分館☆ では、館長であるわたしが、読み終えておもしろかった『本』を、皆さまにご紹介させていただこうかと思っております。
ここ『カクヨム』ではない世界の物語たちを集めた……なので、異世界分館です。よろしければおつきあいください。
午後のひと時に、素敵な1冊を……。
『亜ノ国へ 水と竜の娘たち』
著者名 柏葉幸子 装画 わみず
KADOKAWA
この物語は……、
文芸寄 ★★★★★♢・・・・・ ラノベ寄
ジャンルは……、『異世界ファンタジー』です。
★★あらすじ、感想などなど★★
あらすじ……
不妊治療の末、夫が浮気相手と子どもを作り、離婚した塔子。
帰った故郷で見つけた亡き祖父のトランクは、異世界への扉だった。
魔力が支配する過酷な世界「亜ノ国」に飛ばされ、塔子は村の娘ムリュの世話係を任される。一目会った時から、なぜかムリュに夢中になる塔子。
六十年に一度、城で行われる「六祝の儀」にムリュも参加するというが、それは少女たちが競い合う、命がけの儀式だった。
塔子はムリュを守り、生き残れるのか。
感想などなど……
子どもができないまま離婚をして、故郷に戻ってきた、この物語の主人公・塔子。
実家に戻り、母からの小言を聞きながら、自分に子どもさえいたら今とは違う世界が広がっていたのだろうか……と思い悩む日々をすごしていく。
そんなある日、今は亡き、祖父の家の片づけをする機会に巡り合う。その家の最後の住人、主人公の叔母が百歳で亡くなったからだ。
母からの小言を厭い、祖父の家に辿りついた主人公は、祖父のモノと
そのトランクから聞こえた声を疑問に思う間もなく、主人公は異世界へと転移させられた。
物語中盤まで、読者の皆さまは、登場人物たちの相関図に悩むかもしれませんが、終盤に差し掛かったあたりから、すべてが繋がります。
しかし、繋がり始めるまで、どうしてもこの物語の根幹らしい『親娘』の関係性が希薄なのです。だって、主人公の塔子は、ムリュにとっては、乳母にすぎないのですから。
どこに親娘? わたしもずっと、そう思いながら読んでました。でも、こちらも、終盤に繋がるのです。塔子とムリュが……。ムリュが初めから塔子に懐いた訳が、ここで明らかになります。
あ、未読の方の楽しみを奪ってはいけませんので、これくらいで……。
さて、22冊目は、児童文学で色々と受賞されておられる作家さんが書かれた、本格的な『異世界ファンタジー』です。
日常的に、バトルもチートもない物語は、ラノベしか読まない読者さま方には退屈かもしれません。どちらかと言うと、落ちついて物語を読みたい、おとな向けではないかと。
でも、この物語は、時間軸のズレを上手に昇華させた、不思議で素敵なファンタジーだと思います。
最後に登場する、離婚した元夫の行動は、わたしには理解できないし、許せないモノでした。しかし、最後の最後に、このエピソードを持ってきた、この物語の作家さんの考えた構成はすごいと思いました。
今回も、これ、読んだよ〜 とか、これ、おもしろいよね〜 とか、皆さまとお話できると楽しいかな? なんて思ってたりします。
なので、コメントなど残していただけると嬉しいです。
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