12冊目 『52ヘルツのクジラたち』

 皆さま、こんにちは。

 あさぎ図書館 館長の、浅葱あさぎ ひな です。


 この、あさぎ図書館 ☆異世界分館☆ では、館長であるわたしが、読み終えておもしろかった『本』を、皆さまにご紹介させていただこうかと思っております。

 ここ『カクヨム』ではない世界の物語たちを集めた……なので、異世界分館です。よろしければおつきあいください。


 午後のひと時に、素敵な1冊を……。




    『52ヘルツのクジラたち』

       著者名 町田そのこ   装画 福田利之

           中央公論新社


 この物語は……、

    文芸寄 ★★★★★♢・・・・・ ラノベ寄

 ジャンルは……、『現代ドラマ』です。




★★あらすじ、感想などなど★★


 あらすじ……

 52ヘルツのクジラとは__

 他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。

 たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。

 そのため、世界で一番孤独だと言われている。


 自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚きこと、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。

 孤独ゆえに愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる__。



 感想などなど……

 この物語、結末に感動した。とか、ふたりの未来に安堵した。とかって、どうしても思えなかった。

 とにかく、『いいお話』ではある。たいせつな人を失い、自分自身も失いかけた主人公が、前向きになれたところで終わるのだから。

 もうひとりの主人公も、漸く、心の拠り所が見つかり、その絆を更に深いものにしようとがんばるところで終わるのだから。

 でも、ふたりが、そこに辿りつくまでが壮絶。もう、読んでて怖かった。すごくふるえた。


 主人公・貴瑚きこは、母親が再婚ののち、弟が生まれたのをきっかけに、母親から愛されなくなる。躾と称した虐待が始まる。更に、義父が難病に罹り、その介護も押しつけられる。自分を犠牲にした介護の末に浴びせられた言葉は、あまりにも非情なモノだった。

 生きている意味が見つからなくなって、死ぬ気で、街中を彷徨さまよい歩くうち、偶然に出会でくわした。それが、のちのたいせつな人。

 一方、虐待が原因で喋ることができなくなっていた、もうひとりの主人公は、現在、実の母親からのエスカレートした虐待と育児放棄ネグレクトに遭っていた。

 そんなふたりが出逢う……。孤独を纏った悲痛な叫び声を、ふたりは、お互いに受信しあえるのか……?

 あ、未読の方の楽しみを奪ってはいけませんので、これくらいで……。


 さて、久しぶりの12冊目は、ジャンルとしては、『現代ドラマ』です。

 皆さまもご存知だと思いますが、今年の『本屋大賞』受賞作です。でも、わたしが読んだ本の帯には、『本屋大賞ノミネート!』も、『本屋大賞受賞!』の表記もありませんでした。刊行されたばかりの頃に購入したんだろうなぁ。

 わたしのうちは、普段は、父とわたしで、読む本を共有してるんです。自分が読み終わったら、『読む?』みたいな。でも、この『本』は聞かれなかった。

 父が薦めてこなかった理由、読み終えて解った気がする。きっと気を遣ってくれたんだと思う。

 それほど、この物語は、とても衝撃的でした。最終盤に到達していても、残り数ページを読み進めるのが苦しい。でも、おとなの人たちは、読後にすごい充実感が味わえるとも思います。


 今回も、これ、読んだよ〜 とか、これ、おもしろいよね〜 とか、皆さまとお話できると楽しいかな? なんて思ってたりします。

 なので、コメントなど残していただけると嬉しいです。

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