六
朝がやってきた。
彼はまだ隣で寝息をたてて寝ていた。頭に少し酒が残りつつ私は冷静な性分を取り戻してきていた。そもそも、性に対しての恥じらいや嫌悪がなかったため、昨夜の出来事を悔いることはない。しかし、こうやって見ると、顔立ちが全くして好みではなかったことに気づくのだ。始終私は彼の口ぶりと身のこなしに惚れ込んではいたもののの、こうやって見ると、鼻が低く、目は控えめで、美しいとも汚いとも言えない肌質は私の特段好みの顔ではなかった。
昨夜を思い出す。
「かわいい」
と連呼する彼はまるで動物のように私を求めていて、私はそれに応えた。
彼は私に対してどういう心持ちなのか、そう深く考えながらタバコを喫んでも決して答えは見つからず、ただ単に欲求を満たしたという事実だけがそこにはあった。
「ん」
彼は起き間際にも私を抱いた。彼が欲求を満たしたのと同様に、私も自分の性と、存在についてのひとりでな欲求を満たしていた。
横浜の明るい空を歩きながら、私は家へ、彼は職場に向かった。
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