ある夏の夜だった。

私は広々とした自然とは反して、プライベートがない家庭から逃げるようにさまざまな他人の家に転がりこんでいた。まさに現代的な出会い系で声をかけてくれた人々である。

小中高と孤独ではないにしろ、交友関係が広くも狭くもなく、深くも浅くもなかった。男性が苦手であるわけでもなく、女性が苦手なわけでもなく、中性的な人が苦手なわけでもない。しかし、こうやって、一対一で異性と話すことが多くなると、どうにも表面的な付き合いが多かったことを思い知り、男と女の壁は超えられないことが分かる。


昨今の男女平等運動、違和感を感じるのは、生物学的な壁はある程度の限界があることを念頭におかない、建前上の主張が多いからに違いない。どの時代にも人を従えるものは従え、指導し、大成する。

 

男と女の壁は超えられない


なぜこの思いに至ったかは私が身を持って体験をした、妖しく甘美な性がそこにあったからだ。実に平凡で、型に嵌まった私の愛憎がそこにあるからだ。


これは私の日記であり、幻想であり、ロマンである。

他言は無用で、これが私の感じた、私と男の物語なのである。

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