8.モンスターの情報が見れるようになっちゃいました
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決闘に勝利しました
【実績開放】初めて決闘に勝利した
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脳内で声が鳴り響く。
どうやら僕のスキルは、何らかの条件を満たすとレベルが上がって、出来ることが増えていくようだ。
その条件はいまだに不明だが、こうして「決闘をする」というのが1つの条件だったのだろう。
「本当に悪かった!!」
「もう二度と逆らいませんので、どうか命だけはお許しを!!」
凄腕の傭兵2人は、がくがくと震えながら僕に謝る。
……そんなに怯えられるのも心外だ。
「アレス、今度から『ビッグバン』は使用禁止ね?」
「……はい」
やっぱりあの魔法は、やばいらしい。
反応に困る僕を、ティアが半眼で見てくるのだった。
「す、凄まじい戦いだった――!」
「表情ひとつ変えずに戦斧を防ぎ切った剣の腕に、最後のあれは何だ!」
「どうしてアーヴィン家は、あんなお方を追放したんだ!?」
戦いを見ていた人々が、興奮したように口を開く。
僕は街道を封鎖する兵士に向き直り、先に進む許可を求めた。
「それでは、カオス・スパイダーに挑む許可を貰えますか?」
「ああ。あれほどの戦いを見せられてしまっては仕方ない。しかし……本当に頼んで良いのか?」
「どういうことですか?」
「今のアレス殿は、領主の息子ではない――領内のモンスターの討伐をする義理もないんじゃないか?」
心底、不思議そうに兵士が問う。
モンスターとの戦いの矢面に立つ事も多いアーヴィン家は、時として領内のモンスターを討伐することもあった。
「そういうことですか。別に大した理由はありませんよ――行きたい先にモンスターが居るなら、ついでに倒そうというだけですよ」
「そ、そうか……」
「それに僕は――冒険者になって、世界の果てを見たいんです。そのためにも、こんなところで立ち止まって居られませんから」
そう言って僕は笑った。
誰にも言えなかった夢を、こうして胸を張って言葉に出来るようになったのは、ティアのおかげだ。
「街道沿いに進んでいくと、カオス・スパイダーの縄張りにぶつかります。そこも兵士が取り囲んでいるので、すぐに分かると思います」
「ありがとうございます」
僕は兵士たちにお礼を言うと、カオス・スパイダーが居るという街道を進んでいくのだった。
◆◇◆◇◆
街道を歩きながら、僕は自らのスキルを確認する。
さっそく
『チート・デバッガー!』
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現在の権限で使用可能な【コード】一覧
→ アイテムの個数変更
(▲エクスポーション▼)
→ 魔法取得
(▲ビッグバン▼)
→ ユニットデータ閲覧(NEW)
――――――――――
予想通りだった。
『ユニットデータ閲覧』という見覚えのない【コード】が追加されている。
「ティア、やっぱり増えてる。ユニットデータ閲覧だって」
「アレスのそれ、やっぱり訳が分からないわね。どうして1つのスキルで、そんなに色々と出来るようになっていくのよ?」
「そんなに凄いの? でもこれ……外れスキルだよ?」
「凄いというか規格外というか……。神託書に載ってないから外れスキルってのも、おかしな話よね」
載っていないものをこそ、もっと研究するべきじゃないかしらと、ティアは考え込みながら呟いた。
そんなことを吞気に話していると、おあつらえ向きにモンスタ-が現れた。
ぷにぷにとした見た目が愛らしいスライムだ。
この辺の地方に現れる本来の敵で、ランクは最下位のGランク。
ブラッド・ウルフやカオス・スパイダーの目撃情報がある今、その愛らしい見た目は癒しすら与えてくれた。
「ティア、ちょっとだけ待ってて。試してみたいことがある」
「分かった!」
僕は「ユニットデータ閲覧」をポチっと押した。
すると――
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【コード】ユニットデータ閲覧
名称:スライム(LV1)
HP:13/13
MP:0/0
属性:弱→炎、水、凍
▲基本情報▼
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「うわあ。なにこれ……?」
「アレス? 何が見えてるの?」
「すごいよ! モンスタ-の情報が見れるみたい」
これまでと同じなら、「▲▼」を押すと何かが起きるはず。
そう予想して押してみると、その予想も当たった。
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【コード】ユニットデータ閲覧
ドロップ:やくそう
レア :ぷにぷにジュース
※ ダメージを99回与える
▲特殊情報▼
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ダメージを99回与える……?
HPが13しかない相手に……?
「アレス、もう倒して良い?」
「その……少しだけお願いがあるんだけど――」
ティアが普通に戦えば、スライムなんて一撃だ。
というより大半の人がそうだろう――スライムに99回も攻撃するなど、有り得ないのだ。
しかし、このスキルの効果を信じるなら――?
僕はワクワクしながら、ティアにあるお願いをした。
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