第6話 クレアが花嫁に求める条件
クレアのトンデモ発言に色々言いたくてたまらないロベルト達の気持ちなど知る由はあるが全く気付かないクレアは何食わぬ顔で語り続けた。
「アルトの相手となるにふさわしい条件となると…そうだな」
(ロベルト、セルレア心構えしとけ。きっと想像を絶するような条件が飛んでくるで)
(そうだねアルトが関連するといろいろオーバーになることが多々見られたけどさっきの発言で改めてかなり重症化してるのは確信したからね。気を引き締めないと)
(そんな事ありません。きっと普通…いえ少しだけ特殊かもしれませんがいたって一般的な条件がが出てくるはずですわ…多分)
セルレアはクレアを庇うもののこの部屋に来てからのクレアの価値観を目の当たりにして、彼女への評価が揺らぎに揺らいでいた。
「まず優れた人柄と器量を持ち合わせていて頭脳・容姿共に秀でており…」
(少し厳しくも感じるけどこれは…)
(まあ、これだけならそんなにおかしくはないな。せいぜいちょっと条件厳しい姑ぐらいや)
(当然ですわ)
「家事や料理をそつなくこなせ、それらがアルト以上であり…」
(普通といえば普通やけど)
(アルト以上て部分が難易度を跳ね上げたね
アルトがクレアの為に料理を作り始めて10年以上。すでにそこら辺のお店よりよっぽど美味しいからね)
(そもそもクレア人の事言えんくないか?)
(で、でもいたって常識的な内容ですわ)
「そしてどんな戦場でも泰然自若のような冷静さを備えていて」
(おい、ついに変な要素が出始めたぞ)
(普通に冷静沈着とかじゃダメなんですねかね。少なくとも一般の女性でそれを身につけている方なんまずいませんよ)
「有毒物質などの類を見分けることの出来る
(そんな女が普通いるわけないやろ)
(さっき『戦場でも』とか言ってた辺りそいう修羅場を潜り抜けておりかなりの経験があるの前提の話になってますねこれ)
「毎日アルトへの愛情とプレゼントを365日欠かさない女…と言ったところか」
(前の2つがぶっ飛んでるからマトモに聞こえるけど、愛情はともかくプレゼントを1日も欠かさず送り続けるのって正直ホラーっていうか…)
(ヤンデレ臭がしますね)
(ていうかちょっと多すぎて整理しきれんな。とりあえず…)
「すまんクレア長くて聞き取れんかった。もう一度頼むわ」
「まず優れた人柄と器量を持ち合わせていて頭脳・容姿共に秀でており、家事や料理をそつなくこなせ、それらがアルト以上であり、どんな戦場でも泰然自若のような冷静さを備えていて有毒物質などの類を見分けることの出来る
(改めて聞くとなんていうか…)
「滅茶苦茶ハードル高!」
「もはや幻想レベルなんだけど」
「何を言っているベルと結ばれる相手だぞ。それぐらい求めるのは当然だろ」
最早地球に存在しているとは思えないレベルの条件に3人はまたしても頭を悩まされ、それを至極当然かのように言う目の前の人類最強と謳われたエルフの存在が彼らの頭痛を増幅させた。
(当然ってなんだろう)
(見方によってはベルを結婚させたくないから無理難題出してるようにも聞こえるんやけど…)
(あれは素ですね。残念ながら)
クレアの発言がアルトを取られることによる焦りや何らかの間違いである事。或いは今自分の置かれている状況が夢であるが故だと願いながら頬をつねり、クレアを観察するも彼女なんら普段と変わることのない表情をしていて、更に自分の肌から鈍い痛みを感じるため残念ながら幻である可能性も消え去った。
(アルト自身が結婚や交際相手に求めるハードルってそんなに高くないと思うけど、背後の守護霊ならぬ地縛霊みたいな保護者のせいで難易度が事実上存在しないレベルまで飛躍したな)
(いえ、流石に世界は広いですし探せばきっといる…可能性は無いとは言い切れない様に思える気がしなくもないと思います)
(それほとんどいると思ってないと同義やん)
(まあ探せばいるんじゃない?干し草の山から1本の針を探し出すのと同じくらいの可能性はあると思うよ?)
(それ数字に表すと0.1%はゆうに切っとるよな。何年がかりで達成できるんや?)
3人はクレアのアルトの花嫁に求める高すぎて見えないレベルの水準を何とか可能なものと思い込もうとしていた。
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