第14話 [真祖覚醒]を試す
エンチャントを試している内に日が昇り始めたので切りの良い所で一旦生産をやめ、ギルドの外に出る。
さっき作った短剣については既に兄へフレチャを送ったけど、まだログインしていないようで返事はまだ来ていない。
他の短剣は全て委託に流している。出来れば全て売れて欲しいところだけど、低Quの銅の短剣は売れ残りそうな気がする。
サウリスタの街中を抜けフィールドに出る。
[真祖覚醒]を試すためにどこかのエネミーと戦う……必要は無いか。でも、使うのは誰にも見つからない場所が望ましいよね。見つかったら面倒そうだし、どんな感じのエフェクトが出るかわからないから隔離空間が望ましい。
となれば、隔離空間が発生する場所で一番近いのはBOSSエリアなのだけど、フクロウと羊だと弱すぎて[真祖覚醒]を使って戦うには勿体ない気がする。まあ、残りのカエルもそう時間はかからずに倒せるとは思うけど、他の2匹よりはマシかな。それに戦闘前の準備を進めるのもカエルの方が都合はいいかもしれない。あ、ゴフテスまで行くと確かめるついでに、とはいかないので除外している。
フィールドを進み、ベテュードの戦闘エリアに近付いたところで複数のプレイヤーが戦闘エリア前に集まっているのが見えた。おそらく他プレイヤーに寄生して第2エリアへ行こうとしているプレイヤーたちだろう。絡まれても面倒なのでそのままの速度で戦闘エリアへ突っ込んだ。
「あ――」
「待って――」
「――らっ!?」
「すぅ――っ!?」
入ると同時に再戦のアナウンスが表示される。元から戦うつもりで入っているのですぐにYESを選択した。
『アナウンス
エリアBOSSの戦闘フィールドに入りました。これからエリアBOSS:【不動のベテュード】との戦闘が始まります』
フィールドがBOSSエリアに切り替わる。元々この周辺は沼地とはいかないまでも湿地に近い環境で所々
ベテュードは二つ名の通りほとんど動かないエネミーであり、こちらから動かない限り初動はゆっくりだ。そのため、ペテュードが動き出すまでに準備を進めることが出来る。
まずはステータスの変化がわかり易いようにフードを外す。それと同時に少し体が重くなったような感覚を覚えた。
すぐにステータスを確認すると、RACE特性によりしっかり25%減少した数値になっていた。
「それじゃあ[真祖覚醒]」
スキルが発動すると同時に赤黒い靄のエフェクトがアバターの周りを漂い始めた。そして、その靄はアバターにまとわりつくように動くとスッと消えてしまった。
「ん? あ」
すぐに効果が出なかったので失敗したのかと思ったけど、一気に体が軽くなった感じがしたのでしっかり効果は出ているようだ。ステータスも確認した限り元々のステータスに戻っている。
アバター自体に変化は無いっぽいね。薄ら光っているとかもなさそう。
しかし、発動時のエフェクトがあるとなると目立ちかねない。光らないだけマシではあるけれど、視界に入れば気にはなるだろうし。
……うん。ステータスウィンドウで見られる範囲でも変化はないね。説明外の効果があったらそれはそれで驚きだけど。
まあ確認は出来たからさくっとカエルを倒そう。
[(モンスター・BOSS) 不動のベテュード LV:18 Att:水・毒]
HP:2400 / 2400
MP:550 / 550
スキル:粘膜反射・毒液・舌槍・舌鞭・ハイジャンプ
ベテュードが持っている粘膜反射スキルは魔法や物理攻撃を反射、正確には逸らすだけでカウンター的な物ではないけれど、そういう面倒な能力を持っている。
それは攻撃スキルの熟練度に依ってそれに抗うことが出来るのだけど、それ以外にも方法はあって状態異常にすることで反射能力を抑えることが出来る。まあ、完全になくすことは出来ないので結局ある程度スキルが育っている必要があるのだけど。
「パラライズミスト」
前回と同じように最初に状態異常にしていく。ベテュードは微毒よりも微麻痺の方が効きやすいので、パラライズミストを使用。最初からエンチャント:パラライズだと攻撃が逸らされてしまうので、先にミストを放つ必要がある。
まあ、それから先は作業みたいな物。
攻撃しつつベテュードの舌を躱し、状態異常を維持。それを繰り返し最後の特殊行動を大きく回避することでスタンを回避。そして攻撃の反動で動けなくなっているベテュードに数度攻撃を叩き込んで終了。
途中の特殊行動は舌乱舞なのでシャドウダイブでやり過ごせば攻撃を食らうことなくやり過ごすことが出来るので、あまり気にする必要は無かった。
『アナウンス
エリアBOSS【不動のベテュード】を討伐しました。討伐時間00:2:43。
それにより討伐特典としてベテュードの毒腺を獲得しました。
このまま第2エリアへ移動しますか? YES/NO』
うーん。このままサウリスタに居続ける必要もないし、セントリウス側に戻ることにしようかな。
それにしてもまだ効果時間が残っているのだよね。しかも7分くらい。……あと何回か戦ってもいいかもしれない。ギルドポイントがもらえる上限まではまだ戦っていないし、今戦ってもいいかな。後2~3回で[真祖覚醒]の効果が切れそうだけど、フードを被っていれば問題なく倒せる相手だし、丁度いいかな。
戦闘エリアが通常フィールドに切り替わる前に素早くフードを被る。そして通常フィールドに戻ったらまた、ベテュードの戦闘エリアに入る。
戦闘エリアに入って直ぐ確認したステータスは、フードを被った状態と被っていない状態の時で変化はなかったので、発動中はどちらの状態でも良いみたいだ。まあ、一々フードを外すのは面倒なので同じならそれで問題はない。
むぅ。[真祖覚醒]本当にステータスが通常に戻るだけで他の効果は一切ないっぽい。【闇魔法】の威力が上がる訳でもないし、【血魔法】も同じく変化はなし。熟練度で変化するようになるのだろうか。それとも他のスキルが生える?
ほんの少しくらい強化されるかもと期待していたのだけれど。まあ日光下でしか発動できないスキルなのだから、光が当たらないところでステータスが強化されるようなことはないのだろうね。残念。
そしてそれから何度かベテュードの討伐を繰り返した後、セントリウスのギルドへ向かった。
―――――
ベテュードの見た目は某グルメ漫画で最後に出て来た最強のカエルに近い? あそこまで強くはないけど。弱点は、目・眉間・舌の3か所。ずんぐりむっくりなので首はなく胴体に弱点はない。体を覆う粘液に毒があるため近接はつらい。ぬるぬる。
ついでに寄生しようとしていたプレイヤーは2陣。
※2陣プレイヤーの言葉ちょっと弄りました
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