第48話 修復完了
錬金台の上に載っている指輪を確認する前に、何の変化もしていないように見える鉱石を確認してみる。
パッと見、何も見た目に変化はない。
元より金鉱石や銀鉱石は、【鑑定】した時に出るアイテム名を見ないと普通の石っぽい見た目なので、目の前にある鉱石を1度でも【鑑定】しない限りどうなっているかの判断が出来ない。
銅鉱石や鉄鉱石は見た目で判断できるのに、現実と同じように希少金属は鉱石中の含有量が少ない事を反映しているのか、見ただけではわからないようになっている。
まあ、リアルの金鉱石や銀鉱石に比べれば鉱石中の含有量は多いだろうから、あくまでも見た目を倣っているだけなのだろうけど。
鉱石を手に取って確認する。手に持ったことで表示されたアイテム名は鉱石となっていた。
UWWOでは基本的に鑑定する前にアイテムを手に持つことで、大雑把なアイテムジャンルがわかるようになっている。銅鉱石や鉄鋼石なら『鉱石』、薬草や上薬草なら『植物』、ダン木の実や何かの骨なら『素材』と、手に取ったアイテムの上に表示される。例外もあるけれどそれは『?』と表示される。
それで一度でも【鑑定】なり【看破】をしてアイテム名がわかっていれば、次に鑑定済みのアイテムを手に取るとアイテム名がそのまま表示されるようになっている。
で、錬金台に載っていた物は『鉱石』と表示されたことからして、金鉱石や銀鉱石ではない別の物になっている事を示しているわけだ。
[(アイテム)屑鉱石 Re:C Qu:G]
一切金属を含んでいない鉱石に見えるただの屑石。使用価値はなく、インベントリにも入れることが出来ず、一定時間の経過またはこのウィンドウ下部にある廃棄を選択することで消滅する。
〔破棄する〕
【鑑定】してみたところ、表示されたのはこれだった。おそらく含有していた金や銀は指輪の修復に使用されて鉱石内から抜き取られたとかそんな感じなのだと思う。いや、他の原因はあり得ないだろうから、確実にそうなのだろうけど。
とりあえずこれは持っていてもインベントリ内にしまえないので破棄。
さて、じゃあ指輪の確認をしよう。鉱石が屑鉱石になっていたという事は修復が成功しているという事だろうけど、どんな感じに修復出来たのだろうか。前に腕輪を修復した時はそれほど性能が変わらなかったから今回もそんな感じなのかな。
[(アクセサリー)ルビーとサファイアの指輪 Ra:Ep Qu:C Du:100 / 100 SAS:-]
小さいがルビーとサファイアが埋め込まれた指輪。この指輪が作られてから長い時間が経過しているがまだ十分に使用できる。さらにはめ込まれた宝石の力は殆ど失われていない。内側には長年に渡り使用していたのか内側に掘られた文字が薄れてしまっている。しかし、辛うじて読むことは出来そうだ。
装備効果:火属性・水属性耐性(小) INT+8 VIT+5 MND+12
修復が成功したからアイテム名の(劣)が取れている。
属性耐性の方は変わっていない。まあ、今回の修復でルビーとサファイアを使っていないから変化のしようがないよね。ステータスの上昇についてはかなり良くなっていて、元がVIT・MND+1だったから大分上がっている。腕輪の時より性能が上がっているのはRaの差かな。
何故か修復したのにSASが無い。売れないってことなのだろうけど、もしかしてこの指輪ユニークアイテム? いや、グネズミーからの報酬だからそんな訳ないだろうけど、まさかね?
あとは説明文か少し変わっている。前半部分は修復したからだけど、後半のやつは何か意味があるのだろうか。
指輪の内側を確認してみところ、たしかに前よりも文字が書かれていることがわかった。ただ、残念ながらゲーム内文字なのか何が書いてあるかは全くわからなかった。
まあ、文字は読めなかったけど修復が上手くいったから良いかな。そう言えば最初の頃に手に入れた本も中に書かれていた文字が読めなかった記憶が。使わないからセントリウスのギルド倉庫にしまっているからすぐに確認は出来ないけど、同じ文字が使われているのかもしれない。
これ以上確認することもないので指輪を装備する。
さて、生産工房の使用時間はまだある。
今の修復で【錬金】スキルによって鉱石から金属だけを抜くことが出来たのだから、鍛冶スキルを使わなくても金属塊を作ることが出来るのではないかと、ちょっと気になっているので試してみよう。
手持ちの鉱石はもうないので、一回委託で鉱石の中で一番安い銅鉱石を幾つか購入する。そして錬金台の上に銅鉱石を3つ載せ、鉱石内の銅を引き出してまとめて塊にしていくイメージで錬金台を起動させた。
結果として、何か変なことが起こるわけでも失敗するわけでもなく、銅の金属塊と鉱石が3つ錬金台の上に置かれていた。鉱石の方はさっきと同じように屑鉱石になっていたので破棄。
これ【鍛冶】スキル取得する必要なかったやつでは?
目の前にあるものを見ながらそう思いつつも、出来上がった拳大の金属塊を確認する。Raは同じなのは当たり前として、Quが【鍛冶】で作った奴よりも低い。今【上級錬金】で作った物がQu:Dで生産工房に入る前【鍛冶】で作った物はQu:Cだった。
これは錬金で作ったのが初めてだったから低いのか、他の要因……というか錬金で作ったから低いのかも? 本来なら【鍛冶】スキルで作る物だし。
これ他の物もだけど適正な方法で作った方がQuは高くなりやすい? もしかしたら成功率とかも違うかもしれない。そう言えば【調合】で作ったポーションも錬金に比べて熟練度が低かったのに同じQuの物が出来ていた。
錬金の2次スキルで作った物が1次スキルの【鍛冶】、しかも熟練度が低めで作った物よりも低くなっているところからして、大いにあり得そうだね。
ん? という事は、修復も適正スキルでやった方が最終的なQuは高くなっていたということ?
……うぅーん。この結果だけを見ればそうかもしれない。いや、とりあえず今購入した分の銅鉱石を使って検証しておこう。
結局、残りの銅鉱石を錬金台を使って金属塊にしてみたのだけど、その殆どがQu:Dで辛うじて1つだけQu:Cの物が出来ただけだった。
やっぱり適したスキルを使って作る方がアイテムのQuは高くなるようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます